東京都現代美術館の「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ」展がかなり素敵でした。2017〜2018年にパリ、2019年にロンドン、と巡回してきたんですね。ハイブランドの美意識やクラフトマンシップ、財力などの異次元さを見せつけられました。グッチやヴィトンの展示なども見応えあったし、ブランドのノーブレス・オブリージュ精神を感じます。
フランス語を学んでいる友人を誘って見に行き、「THE DIOR BALL」と題された、ドレスがひな祭りのように並んでいるコーナーで「この中で欲しいドレスはどれですか?」と聞いたら「全部欲しい」とのこと。でも私はつい、一番露出度が低くて寒くなさそうなのを選んでしまいました。
「THE DIOR BALL」は、ななめの台座にプロジェクションマッピングが映し出されていて、星空などが美しく映えていました。ドレスが手の届かない雲の上の存在だと実感させられました。結婚式でドレスを着るのが夢、という女性は多いですが、本当のセレブは結婚式が終わっても、ドレスを着続けるのでしょう。「BALL」に招かれる機会が毎月のようにあったり……。そんな格差にため息が出ます。ZARAとかで買ってる場合ではありませんでした。
マッテオ・ガッローネ監督による、人魚やニンフ、カタツムリ人間などのファンタジーな生き物が出てくる映像も素敵でした。神獣や精霊たちにディオールのドレスを着させる、というストーリー。神話に出てきそうな存在なら、タダで服を賞与されるインフルエンサーの 資格も十分です。
ディオールへの物欲が高まったところで、ショップコーナーに行ったら「Christian Dior」のロゴが入ったトートバッグが売られていてお値段なんと11000円。ディオールのバッグといえば布地でも46万円、革製だと60万円以上したりします。1万円は美術展のグッズやトートバッグとしては高いですがディオールだと思うとかなり安いです。一回品切れて発注をかけたそうですがなくなり次第終了の東京展限定アイテムだそうです。(あとで近くのカフェのマスターが教えてくれました)
トートバッグは、大量生産ですがプリントではなく刺繍。ただ内ポケットがなくハンドルがぎりぎり肩にかからないのが難点です。どうしようか長い時間悩みましたが、円安などでハイブランドはますます手に入りにくくなることを考え、購入を決意。一緒に買った友人は、電車の中で透明の袋に入れて持っていたら、バッグが注目されたと言っていました。ブランドのロゴの訴求力は強いですね。ちなみに友人はかつて数十年前ヴィトンの円筒形のバッグを5万円で買って、今はすごい値上がりしていると言っていました。たしかに最近はお財布でも10万円以上したりします。バッグは昔は10万円とかで買えたものもあったのに20万円以上はするイメージです。20代の頃は華美なブランド品に抵抗があって買ってなかったのですが、こんなに値上がりするなら投資として買っておけばよかったです。その次の日、バーニーズに立ち寄って店員さんに「最近ブランドものって値上がりしてますよね」と聞いたら「そうです。円安だけでなく原材料も高騰しているんです。これからもっと上がりますよ。シーズンが変わるごとに2万円単位で上がっていきます」と恐ろしい予言が……。今季のセールで気になるアイテムがあったら、買っておいてもいいかもしれません。それかバッグの部品を作る業者として働いたら儲かりそうです。
2022年1月6日 ハイブランドの空気|次元上昇日記|辛酸なめ子 - 幻冬舎plus
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