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Sunday, August 28, 2022

培養肉は「工業製品」、製造業のノウハウで先行者利益狙え - ITpro

肉は“製造”の時代へ

東京大学 大学院 情報理工学系研究科 教授 竹内昌治氏(後編)

久保田 龍之介

日経クロステック/日経エレクトロニクス

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全3498文字

 培養肉工場の建設に、米国やシンガポールなど世界中の企業が動き出した。培養肉は牧場で消費される資源や、家畜が排出する二酸化炭素(CO2)を削減できる技術として注目を集める。日本の製造業に、培養肉研究の第一線を走る研究者は何を期待するのか。東京大学 大学院 情報理工学系研究科 教授の竹内昌治氏に聞いた。

「足踏みしなければ最初のおいしいところを取れる」と語る東大・竹内教授

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「足踏みしなければ最初のおいしいところを取れる」と語る東大・竹内教授

(写真:加藤 康)

培養肉の登場で、世界中で「肉の製造工場」の新規建設が始まってきています。今後、製造業はどのように関わっていくのでしょうか。

 僕は培養肉を工業製品と認識しています。細胞を部品とみなして組み合わせる、「細胞を使ったものづくり」から生まれる食品だからです。

 ものづくりの対象は、ハードウエアやソフトウエアだけではありません。最近では「ウエットウエア(Wetware、生物素材を含む機器)」も注目されています。細胞を機械工学部品として使えば、動物にそっくりだったり、自己修復したりするロボットもつくれます。ハードとソフトに、ウエットという3つめの“ウエア”が融合しなければ、今後ものづくりで新しい産業は出てこないでしょう。ウエットウエア工学は今後盛り上がる分野だと思います。

 日本はものづくりが大好きな国です。ウエットウエアを新規産業として捉え、足踏みしなければ最初の「おいしいところ」を取れるのではないでしょうか。

培養肉の普及に向けては、どのような課題があるのでしょうか。

 現状の課題としては、(1)技術の発展、(2)文化の醸成、(3)規制の構築――という3点があります。

 まず(1)技術面としては、いかに効率良く、安価で、おいしいものを実現できるかという点が重要です。ここを網羅しなければやはり売れないからです。

 我々はその先も見据えています。つまり、「肉はどのように体外でつくれるのか」という疑問を追求していきたいのです。例えば、似たような方法で製造する人工臓器も、これまで再生医療が発達しても完璧につくれていません。肉を体外でつくれれば、人工臓器の技術にもつながるかもしれません。

技術面での課題を解決するためには、製造業のノウハウが生かせそうです。

 そうですね。例えば、工場で効率良く製造するために重要な装置としては、コンタミネーション(異物混入)を防ぐための品質管理装置や3D(立体)プリンターなどが挙げられます。さらに、統合制御システムやプラント建設・運営技術、工場を管理するためのロボット技術も想定できるでしょう。

コスト抑えてクリーンルーム技術転用できるか

異物混入を防ぐという点では、製造工場などで空間を清浄に保つクリーンルームの技術があります。

 清浄な環境を保つのは、培養肉の製造では必須の条件です。一方、食品に限れば、できるだけコストを抑えたいところです。なので、いかにコストを低く転用できるかが重要です。

 将来的な培養肉の提供のあり方として、全部が高級牛として売れたら理想的です。とはいえ、現実的に普及させるためにはスーパーマーケットで並ぶ食肉と同程度以下の価格で提供しなければならないでしょう。製造業で扱うようなクリーンルームやセンシング技術、印刷技術などを応用するには、薄利多売を許容できるようなコスト水準が求められています。

 コストの要求は厳しいですが、その分、参入のメリットもあります。日本の製造業企業が培養肉に新規参入すれば、まだ始まったばかりの分野で知財を抑えていけます。それが価値を生むはずです。

3Dプリンターはなぜ重要なのでしょうか。

 培養肉の3次元組織構築には、一般的に3Dプリンターを使います。実際、我々の研究では、大抵のものに活用しています。培養肉の「鋳型」をつくる際にも、3Dプリンターでまず作製し、食品向けに使える材料に転写していきます。

となると、今後は3Dプリンターのコストが培養肉の提供価格に関わってくることもありそうです。

 それはやり方によるでしょう。3Dプリンターで培養肉を1個ずつ製造するのではなく、大規模生産すればコストを抑えられるかもしれません。

 例えば、イスラエルSteakholder Foodsという企業は、10m×10mぐらいの大規模3Dプリンターで培養肉を製造しています。

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