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Tuesday, August 29, 2023

超小さい電動空気入れが自転車ライフを変える? 「パンプッシュ」使ってみた【家電レビュー】 - 家電 Watch

空気を入れることではじめて機能するタイヤのために、持ち運びやすい超小型の空気入れ「パンプッシュ」を使ってみた。足もとにこだわる人はもちろん、安心して自転車に乗るには空気圧の調整はとても大事

今回の主役は自転車のタイヤ用空気入れ。その紹介の前に、タイヤの空気について書いておこう。

自転車に限らず、車もオートバイもタイヤというパーツはなか(チューブ)に空気を入れてはじめて機能するものなので、タイヤにとって空気をどれだけ入れるかということはとても重要。そしてタイヤには「入れていい空気圧」の設定があり、その値にはある程度の幅が持たされている。

筆者が所有するグラベルロードバイクの「ROADREX 6180」(e-bike)が履いているタイヤでは、空気圧の規定値ではなく最高値が設定されている。その値を上限として、たとえば普段は舗装路を走ることが多いので上限近くの空気圧にしていても、ダートや砂利など路面から受ける衝撃の多い未舗装路を走るなら空気圧を少し下げ、タイヤがたわむのを利用して衝撃を吸収するというような調整をする。

タイヤとして機能させるには一定以上の空気圧が必要なので、調整するといっても調整幅は僅かだが、それでも乗り味やハンドリング、トラクションなどを体感できるくらいの違いがあるので、つくづくタイヤとは空気圧の設定込みで性能が出るものだと感じている。

ミヤタの「ROADREX 6180」というeグラベルロードバイク。ドロップハンドルだが未舗装路にも対応するようなフレーム設計や各部のパーツチョイスが行なわれている。e-bikeでは人気のカテゴリー
グラベルロードバイクの特徴のひとつが太いタイヤ。耐久性が高く空気の入る量も多いのでクッション性が良く、接地面積も広いので悪路に強い
タイヤは中に入れる空気圧によって性格も変わる。空気圧を高くすればタイヤに張りが出るので路面抵抗が減って軽く漕げるようになり、ハンドリングも向上。反対に空気圧を低くするとクッション性が上がり、衝撃をいなせるぶん耐パンク性も向上するのだ

こうした空気圧の調整はスポーツバイクだけでなく、チャイルドシートにお子さんを乗せて走るママチャリでも必要。お子さんの体重が乗る側のタイヤの空気圧を、上限を超えないレベルで高めることでタイヤに適切な「張り」を出し、タイヤ自体をお子さんの重量増分支えられるようにしてやるのだ。

こうしておくとパンク予防にもなるし、タイヤの余計なヨレが出ないので走行安定性も上がる。またタイヤが潰れすぎていないので、路面抵抗が減って軽く漕げるようにもなるなどメリットはとても多い。

タイヤの空気圧不足は走りを不安定にさせるし、接地面積が増えるので漕ぐ力が余計に必要になる。またパンクもしやすくなるといいことがない

このようにタイヤにとって中に入れる空気は「絶対に必要で大事なパーツ」なので「減ったから入れる」のではなくて、使い方にあわせて「常に適性空気圧」にしておくものと認識して欲しい。

それに空気は外気温によって体積が変わる特性もあるので、秋から冬と気温が下がるとタイヤ内の空気の体積も減る。すると空気が抜けたわけではないのに空気圧が大幅に下がってしまうので、夏が終わり、肌寒さを感じる頃にはタイヤの空気が減っていないか確認して、減っていたら入れてやる必要があることも覚えておいて欲しい。

充填スピードは十分早いが、発熱するため休ませる時間も必要

自転車のバルブは大きく分けて「仏式」「英式」「米式」の3タイプがあるが、パンプッシュはパーツの簡単な入れ替えで、これらすべてのバルブに対応できるようになっている。ちなみにこれらのバルブの使い分けは「仏式」がスポーツタイプ、「英式」がシティサイクル、「米式」がMTBなどだ。

工場出荷時はスポーツタイプの自転車やシティサイクル用の仏式、英式に合うよう組まれているので、大抵の場合パーツ組み替えは不要だと思う。ただ組み替えることになったとしても、注入部のネジ式のフタを外し、付属のノズルピンを入れたあと、内部の密封シールの上下を入れ替えるくらいなので簡単である。

パンプッシュのノズル部はパーツを組み替えることで3つのバルブ形状に対応できる。米式のみノズルピンというパーツを入れる
ゴム製の密封シールはネジ式のフタで固定。密封シールは上下で穴のサイズを変えてあるので、そこを入れ替えてバルブごとに対応させる
工場出荷時は仏式、英式バルブに合わせてある。これらのバルブは広く使われる自転車で使うものなので、大抵の場合、買ってそのまま使用することができる
米式バルブに合わせるには密封シールの下にノズルピンを入れるので、注入口にピンが見える

実際にタイヤに空気を入れてみたので、その印象と使い勝手について紹介していこう。まず最初に試したのはグラベルロードバイクの「ROADREX 6180」だ。この車両には27.5×1.90(650B)と太めのタイヤが付いていて、最高空気圧は50PSIほどだが、普段はちょっと下げて40PSIくらいにしている。

そこでテストでは空気を抜いた状態から40PSIになるまでの時間を計ってみたところ、結果は約3分となったのだが、この時間については解説が必要だ。

というのもパンプッシュは効率のいいポンプを使っているようだが、ポンプやモーターは動作をすると熱を持つし、圧縮された空気も圧縮時の摩擦によって空気自体が高温になるので、連続で動かしていると「熱い」と感じるくらいの発熱がある。

それだけの発熱があれば本体の内部パーツにも影響が出るので、パンプッシュは本体保護機能として連続動作時間が200秒に設定されていて、時間を過ぎると自動で停止するようになっているのだ。

「ROADREX 6180」のタイヤはエアボリュームがあるので、試す前から200秒は超えそうな予感がしていたが、撮影日は気温が高い日だったので200秒を待たずに一度止めて、少し休ませてから再度入れるということをしていた。

そしてパンプッシュを止めているときはストップウォッチも止めていたので、約3分とはポンプが動いている時間。実際に掛かった時間はもっと長いのだ。

とはいえ休ませていた時間を合わせても7~8分なので本体サイズを考えれば充填のスピードは十分早いと言えるし、気温が低い時期であれば休憩が必要ないかもしれないので、時間はもっと短縮するかもしれない。

「ROADREX 6180」にはパナレーサーのグラベルキングというタイヤを装着している。サイズは27.5×1.90。最大空気圧は50PSIで普段は40PSIにしている。今回は空気を抜いてから40PSIになるまでの時間を計測した
注入部をバルブに挿してから本体のスイッチを1回押すと電源が入り、続けて2回押すとポンプが動いて空気を入れはじめる。駆動音はけっこう大きい。空気がほぼ抜けた状態から約40PSIまでの時間は約3分だが、途中に本体を休ませるため2回ほど休憩を入れたので、実際に掛かった時間は7~8分程度
27.5×1.90のタイヤに40PSI~50PSIの空気を入れるとなると1回の充電で1本の充填といったところ。2本目は入れきれないと思うが、携帯式ポンプなので1本入れられたら十分。2本目もある程度入ってくれたら足りないぶんは手動式のポンプで補うという手もある
次にチョイ乗りに使っている自転車にも同じように空気を入れてみた。こちらのタイヤは20×1.25と細め
径が小さくタイヤ幅も細いので約40秒ほどで充填完了。空気圧は40PSIほど。このサイズのタイヤなら3~4本は充填できそうだ

ということでパンプッシュの充填能力を試してみたが、結果として出先でパンクをしても修理後、適性圧まで空気を入れられることが証明できた。でも、空気が完全に抜けた状態から入れ直す機会はそうあるものではない。

まあ、筆者もそうだがサイクリングをする人では、出先でパンクすることもあるけど、「ROADREX 6180」で試したように、エアボリュームのあるタイヤでも1本はしっかり充填できるので不足はない。

それに万がいち、2本パンクしてもモバイルバッテリーを持っていれば出先でパンプッシュの充電ができるから、2本目のパンク修理の対応も可能だ(やりたくはない)。なお充電時間は40分で、充電しながらの使用はできない。

そして未舗装路用に空気圧を落とすようなことをしたあとの補充や日常的な空気の補充であれば、一度に入れる空気もそう多くないので一充電で全然足りる。家族の自転車で使い回してもしばらくは充電は不要だろうから、それほど手間も掛からず使い勝手はいいと思う。

サイクリングをする人にとってはいざというときのほか、路面にあわせた空気圧調整にも使える
モバイルバッテリーでも充電できるので、モバイルバッテリーがあれば出先で電池を使い切っても再充電が容易。また、e-bikeによっては車体のバッテリーから出力する給電ポートがあるので、それがあればモバイルバッテリーすら不要
バッテリー残量はインジケーターの色でわかる。緑が80~100%、黄色が50~80%、赤が50%以下だ。またUSBの端子部は排熱口を兼ねているので指などで塞がないように注意

e-bikeに限らず自転車は便利な乗り物だけど、2輪で走るゆえに不安定なものである。そして路面と自転車の接点はタイヤの接地面だけなので、ここを安全な状態(規定の空気圧)にしておくことは、自転車を走らせるうえでとても大事だ。

だからこそ、能力は十分で使いやすく置き場所も取らないパンプッシュを持つことは意味あることだと思う。

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