熟成肉か精米を返礼品にする場合は、同じ都道府県内で生産されたものを使わなければならない――。
ふるさと納税を巡って、総務省が6月末、こんな新ルールを発表した。温度などを管理して肉を寝かせ、おいしさを引き出す熟成肉だが、返礼品とする場合、その自治体がある都道府県内で生産された肉しか認めないという内容だ。10月から適用されるが、加工する場所と生産地が異なる返礼品は数多くあるだけに、自治体関係者からは「なぜ『熟成肉』は同じ県内産でなければならないのか」と不満の声も上がっている。
ハム、ベーコンはOKなのに…
ふるさと納税制度は、自治体で生産されたものや、その区域内で「製造、加工その他の工程を行うことによって、相応の付加価値が生じているもの」などを返礼品として認めている。つまり、ハムやベーコンなどの加工品は、原料の産地が県外であっても、その自治体で加工され、価値が付加されれば返礼品として認められるのだ。
そのため、熟成肉と精米をターゲットにルールを厳格化した今回の総務省の対応を巡って、一部の自治体からは困惑の声も聞かれる。
和歌山県湯浅町は、他の都道府県産や海外産の肉を町内の施設で熟成させ、返礼品としてきたが、今回のルール改正で返礼品として扱えなくなる。町の担当者は「改正は仕方ないが、同じ海外産の肉を使っていても、タレ漬けなどの『味付け』は認められている。どうして『熟成』だけが駄目なのか疑問だ。公平感がない」と不満を漏らした。
2年ほど前に町内に熟成のための専用の「熟成庫」を設置し、専門の事業者が温度や熟成期間を管理しているという。2021年度の同町の熟成肉に対する寄付金額は約2億円に上ったといい、「熟成肉は人気の返礼品で、これから出荷が増えれば、新たな雇用も生まれ、地域の活性化にもつながると期待していただけに残念だ」と肩を落とした。
大阪府泉佐野市も他の都道府県産や海外産の肉を、市内の施設で熟成させ返礼品として扱っている。市の担当者は「何のヒアリングもなく今回の改正となったので困惑している」と話し、「一律に認めないというのは納得がいかない」と疑問を口にした。その上で「製造業者への影響も心配だ。総務省は制度を考える立場なだけにもう少し慎重に議論してほしかった」と話した。
では、なぜ「熟成」という価値の付加だけは原材料を県内に限定するのだろうか。その理由について…
ふるさと納税返礼品「熟成肉は県内産」 総務省新ルールに不満の声 - 毎日新聞
Read More
No comments:
Post a Comment