空気をご神体とすることで知られる山形県朝日町の空気神社で3~5日、毎年恒例の「空気まつり」(実行委員会主催)が開かれた。普段は非公開の本殿が年に一度、まつり期間中だけ一般公開されると聞き、現場をのぞいてみると――。
朝日連峰のふもとの標高約600メートルの山中にひっそりとたたずむ空気神社は、1990年、自然の恵みを大切にしようと地元有志らによって建立された。町は「空気に感謝する世界に一つだけの神社」とアピールする。
緑のブナ林に囲まれた高台を進むと、磨き上げられた5メートル四方のステンレス鏡面の舞台が忽然(こつぜん)と現れた。神社といっても実態は環境をテーマとした無宗教のモニュメントで、地下に本殿がある。
町は92年、世界環境デーに当たる6月5日を「朝日町空気の日」とする条例を制定。以来、毎年この時期にまつりを開いている。
「温暖化など気象に敏感にならざるを得ない状況だ。空気のありがたさを感じ、環境を守るという思いを多くの人と共有したい」。3日朝、境内で行われた神事で、まつりの実行委員長を務める鈴木浩幸町長は訪れた人々に呼びかけた。
いざ内部の本殿へ。舞台脇の地表に開いた入り口から、はしごを使って3メートルほど下りると、四季を表す4本の支柱からなる鳥居に囲まれた空間があった。広さは大人が15人で一杯になってしまうほど。そこに1年を表す12個の素焼きの瓶が置かれている。中は空っぽで、そこにご神体の空気がまつられているというわけだ。参拝者らは、万歳するように両腕をV字に挙げて深呼吸する独自の作法で参拝し、空気に感謝していた。
今年のまつりでは町立宮宿小の女子児童による「みこの舞」が4年ぶりに復活した。同小4~6年の7人が紅白の装束をまとい、五穀豊穣(ほうじょう)を願う「豊栄の舞」を披露。鏡面に映る姿を大勢の観客が写真に収めた。
いずれも初参加という佐藤菜月さん(6年)は「とても緊張しました」。菅井梨央さん(同)は「きれいな空気に囲まれた場所で、ゆっくり踊れました」と振り返った。
神社は8月20日まで毎夜ライトアップされ、幻想的な雰囲気で参拝者を迎える。【神崎修一】
世界でここだけ? 「空気をまつる神社」で年に一度のご開帳 - 毎日新聞
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