Bosch Sensortecはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2023」(2023年3月14〜16日)に出展し、IoT(モノのインターネット)デバイス向け微小粒子状物質(PM2.5)空気質測定センサー「BMV080」を用いた、ポップコーン調理による空気質変化測定のデモを展示していた。
世界最小のPM2.5空気質測定センサー
BMV080はBosch Sensortecが2023年1月、「世界最小のPM2.5空気質測定センサー」として発表した製品だ。同社によると、市場にある同等のデバイスは、ファンの搭載によって内部に空気を取り込み、そこにレーザーを照射。その光を反射または遮断する微粒子をフォトダイオードが検知し、PM2.5濃度を測定するような仕組みとなっているため、ある程度のサイズが必要となっていたという。
今回、同社が開発したBMV080は、フォトダイオード内蔵の超小型レーザーを搭載した設計によって、センサー自体が空気中にレーザーを照射。測定したパラメータ(粒子の数や相対速度など)から濃度を導き出すアルゴリズムを採用している。これによって、ファンは不要となり、サイズは4.2x3.5x3mm(プリント基板コネクターを除く)と、「既存品の450分の1以下」(同社)という小型化および静音化に成功したとしている。
同社はBMV080を幅広いIoTデバイスに向けて展開する予定だ。今回、ブースでは、ポップコーンを電子レンジで調理し、その際に空気中に発生する粒子を測定するデモを展示していた。
ポップコーン調理の空気質悪化を検知
デモでは、電子レンジを密閉された透明なケースに入れ、ケースの端にBMV080搭載のセンシングユニットを設置。調理開始から1分ほどが経過し、ポップコーンが弾ける音がし始めた段階から、急速にモニター上に表示された粒子濃度のグラフが上昇、最終的に900μg/m3程度にまで達する様子がリアルタイムで確認できた。説明担当者は、「これは非常に注目すべきユースケースだ。家庭での料理やストーブの使用時など、多くの微粒子が発生し、徐々に室内に充満していく。小型で組み込みが楽なBMV080を用いれば、これを静かに測定し、リアルタイムで対応が可能だ」と強調していた。
電子レンジを密閉された透明なケースに入れ、ケースの端にBMV080搭載のセンシングユニットを設置。調理開始から1分ほどが経過し、ポップコーンが弾ける音がし始めた段階から、急速にモニター上に表示された粒子濃度のグラフが上昇、最終的に900μg/m3程度にまで達する様子がリアルタイムで確認できた
BMV080の質量濃度分解能は1μg/m3、質量濃度幅は0〜1000μg/m3。質量濃度精度は0〜100μg/m3時が±10μg/m3、101〜1000μg/m3時が測定値の±10%。動作温度は−10〜+40℃となっている。
BMV080は既にサンプル提供を開始していて、2024年初めにも量産を開始する見込みだという。
「既存品の450分の1」、超小型PM2.5空気質センサー - EE Times Japan
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