花粉症の流行シーズンが到来した。気象庁は2022年12月26日、「過去10年間で最多のスギ雄花を観測した」と発表しており、家電量販店では例年より早く花粉症対策家電の売れ行きが好調だという。ビックカメラ池袋本店の担当者に、トレンドや売れ筋の商品を聞いた。
お話を聞いたのは、ビックカメラ池袋本店・季節家電コーナー担当の橋本健汰さんだ。
池袋本店では1月上旬頃から、目に留まりやすいレジ前に特設コーナーを設けている。中でも売れ筋なのは、空気清浄機だ。コーナーには、花粉飛散予想が報道されるようになった1月末〜2月頭頃から来店客が増えつつあるという。「例年より客足は早い」と橋本さんは話す。
空気清浄機の需要は「一家に一台」から「一部屋に一台」に
空気清浄機のニーズは、性能の向上も関係してかコロナ禍前から増加傾向。より高性能の商品を求めて、買い替えサイクルも短くなっているという。橋本さんは、「これまでも寝室に置いていたが、他の部屋にも置きたい」といった声を聞くことも多く、「一家に一台」から「一部屋に一台」の商品になりつつあると話す。
「売れる時期」についても、コロナ禍前に比べ一つの変化がある。19年までは主に花粉時期に売れる商品だったが、新型コロナの流行初期には需要が爆発的に増加。その後も空気を綺麗に保ちたいというニーズは継続しており、コロナ禍の初期に比べれば少し落ち着きはしたものの「通年で売れ続ける商品」に変化したという。花粉の量が多い今年は、すでに使っていた人からも「従来品より良いものはあるのか」といった問い合わせが少なくないようだ。
池袋本店での一番人気は、ダイキンの「ストリーマ空気清浄機(2023年モデル)」(6万3480円、2月21日時点の池袋本店の価格。以下同)。高さはあるものの横幅を取らないコンパクトなタイプで、単身者や小さい部屋に置きたいファミリー客など、幅広い層に売れているという。
橋本さんが広めの部屋用に顧客にすすめているのが、SHARPの「加湿空気清浄機KI-RX70(W)」(6万9480円)。イオンによって壁や天井の埃を落とし、回収できる点が売りだ。消臭効果も期待でき、風量自体も他のメーカーより強く、空気の循環が早いのが特徴だという。
また、最近好調なのがパナソニックの「次亜塩素酸 空間除菌脱臭機(ziaino)」(F-MV5400 21型は17万8200円、F-MV4300 18型は14万8500円)。次亜塩素酸(塩素)によって空間除菌を行うタイプで、空間はもちろん、ドアノブなどにも除菌効果が期待できる。除菌・消臭能力の高さから、病院などに置かれる例も増えているという。価格は比較的高めだが、小さな子どもがいる世帯など、除菌・消臭に敏感な層にもニーズがあるようだ。
除湿器の売れ方にも変化
空気清浄機の他、売れ行きに変化がみられたのが除湿器だ。従来は梅雨の時期の「季節家電」だったが、近年増大する花粉の飛散数に伴い、この時期にも重度の花粉症の人を中心に部屋干し需要が増加。メーカーも年間を通して展開するようになっているという。
中でも売れ筋となっているのが、除湿できる量が段違いという三菱のコンプレッサー式除湿器(MJ-M120TX-Wは5万2800円、MJ-P180TX-Wは5万5800円)。センサーによって濡れている場所を検知でき、乾きづらい衣類を集中的に乾かせる点が特徴だ。冬場も窓際の結露対策など、季節に合わせた活用が期待できるという。
年々増加する花粉の飛散量。季節家電の売れ方にも、さまざまな変化をもたらしている。
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