こんにちは。料理家の美窪たえです。
本日は、炊き込み式で作るチャーハンに、うま味が溢れる肉あんかけをたっぷりとかけた肉あんかけチャーハンを紹介します。
単体でもおいしいチャーハンですが、そこに肉あんかけが加われば、その魅力は何倍にもなるのではないでしょうか? 前半はチャーハン単体を楽しみ、後半は肉あんかけを合わせることで、最後まで楽しめるのが肉あんかけチャーハンの魅力ですよね。
しかし、いざ自分で作ろうとすると、チャーハンを炒め、それと並行して肉あんかけを仕上げる必要がある料理です。工程が多く、ご家庭では作ったことがない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ごはんを炒めない「炊き込み式」でチャーハンを作り、その間に慌てることなく肉あんかけを仕上げる、というご家庭でも作りやすいレシピを紹介いたします。お米を炊く感覚でチャーハンを仕上げ、おかずを作る感覚で肉あんかけを作っていきますよ。
ですが、「手軽なのはいいけど、炊き込み式チャーハンっておいしいの?」と思った方がいらっしゃるかもしれません。
もちろん、炒めて作るチャーハンとは異なりますが、炊き込むことでお米に調味料が行き渡ったしっとり系のチャーハンをミスなく簡単に作ることができるんです。
まずは、炊き込み式チャーハンの下準備から始めていきましょう!
肉あんかけチャーハンの作り方「炊き込み式チャーハンの下準備編」
【炊き込み式チャーハンの材料(2人前)】
- お米……1.5合
- ごま油……小さじ1
- 塩……1g
- 鶏がらスープの素(顆粒)……小さじ1
- 水……300cc
- 卵……1個
- サラダ油……小さじ2
- しょうゆ……小さじ1/2
- 長ねぎ(みじん切り)……40g(1/3本)
- ホワイトペッパー……適量
1.お米は水(分量外)で洗い、ザルに上げて水気を切っておきます。
2.鍋(または炊飯器の内釜)にお米を入れたら、ごま油を加え、よく混ぜ合わせます。
※今回は鍋を使用しますが、炊飯器でも分量通りの材料でおいしく仕上げることが可能です。
炊き込み式で作るチャーハンには、2つの重要なポイントがあり、1つ目は「お米をごま油で和えること」です。
お米を浸水させる前に油でコーティングしておくことで、粘りが出にくくなりますよ。
3.ごま油がお米全体に行き渡ったら、塩、鶏がらスープの素、水を加えて炊いていきます。
※鍋の場合は、蓋をして中火にかけ、蓋の隙間から蒸気が漏れてきたら、ごく弱火にしてそのまま9分を目安に加熱を続けるとちょうどいい炊き上がりになります。
これで炊き込み式チャーハンの下準備は完了です。お米に調味料が行き渡ったしっとりしたチャーハンが簡単にできますので、炒めて作るチャーハンが苦手な方はぜひやってみてください。
肉あんかけチャーハンの作り方「肉あんかけの下準備編」
【肉あんかけの材料(2人前)】
- 豚肉(生姜焼き用)……200g
- 溶き卵……1/2個分
※溶き卵の残り1/2個分は、チャーハン用の卵に合わせて使用してください。
- たけのこの水煮(細切り)……100g
- 紹興酒(または料理酒)……大さじ1
- 粉ゼラチン……10g
- 片栗粉……大さじ1と1/2
- ホワイトペッパー……適量
- ごま油……小さじ1
【合わせ調味料】
- しょうゆ……大さじ1
- 砂糖……大さじ1
- 鶏がらスープの素(顆粒)……小さじ1/2
- 水……200cc
1.豚肉は6〜7mm幅の細切りにします。
豚肉の部位のイチオシは、適度に脂があり肉質が柔らかいロースです。中でも、通常の薄切り肉よりもやや厚みのある「生姜焼き用」が、使い勝手と食感の良さから特におすすめです。もちろん薄切り肉でも構いません。
2.細切りにした豚肉をボウルに入れ、溶き卵と塩ひとつまみ(分量外)を加えて揉み込みます。
こうして豚肉に卵を絡めておくと、加熱しても豚肉が硬くなりにくく、しっとり柔らかく仕上がります。卵が豚肉にしっかりなじむまで、ぐるぐるとよく揉み込んでおいてください。
3.たけのこの水煮は水気を切り、鍋に入れて、かぶるくらいの水(分量外)を加えて中火にかけます。沸いたらザルに上げて湯切りをします。
市販の「たけのこの水煮」は水洗いするだけで使うこともできますが、加工品ならではの独特のにおいが少し気になる場合があります。
一度お湯でゆでこぼすと、においが取れてすっきりとした味わいに仕上がりますよ。
4.最後に合わせ調味料として、しょうゆ、砂糖、鶏がらスープの素、水を混ぜ合わせておきます。
中華風のお料理は、使用する調味料の数が多いので、先に混ぜ合わせておけば慌てることなく調理ができますよ。
また別に、肉あんかけ用の水溶き片栗粉も準備しておきましょう。片栗粉に倍量の水(分量外)を加えて、よく混ぜておきます。
これで肉あんかけの下準備も完了です!
肉あんかけチャーハンの作り方「仕上げ編」
お米が炊けたら「炊き込み式チャーハン」と「肉あんかけ」を仕上げていきますが、「3つの粉末系材料」が重要な役割を果たします。それぞれの粉末の特徴と活かし方は順に紹介していきます。
まずは、炊き込み式チャーハンから仕上げていきます。
1.フライパンにサラダ油を入れて中火にかけます。ボウルに卵と溶き卵、塩ひとつまみ(分量外)を入れてよくほぐし、フライパンが温まったら投入します。
卵は周囲から徐々に固まってきますので、固まり始めた部分を中央に持ってくるようなイメージで、ざっくりと炒めていきます。
炊き込み式チャーハンのもう1つの重要ポイントは「溶き卵を高温の油に触れさせること」です。
卵は高温で加熱することで、香ばしさがぐっと引き立ちます。この炒めた卵の香りを炊き上がったごはんに混ぜ込むことで、炒めたようなチャーハンの雰囲気を出すことができます。
2.溶き卵の表面がやや固まったら、鍋肌からしょうゆを回し入れて火を止めます。
3.炒めた卵を、炊きたてのごはんの上にざっとのせ、長ねぎ、お好みでホワイトペッパーを加えて、ごはんに混ぜ込みます。
炒めた卵がほぐれてある程度ごはんに行き渡ったら、これで炊き込み式チャーハンの完成です。盛りつけまで、蓋をしてそのまま蒸らしておいてください。
続いて肉あんかけを仕上げていきましょう。
4.卵を炒めたフライパンに、サラダ油(分量外、小さじ1程度)を入れて弱火にかけます。サラダ油が温まったら、卵を揉み込んでおいた豚肉を投入して箸でほぐします。
肉あんかけの火加減は、チャーハンの卵とは打って変わって弱火からのスタートになります。中華料理だからと意気込んで、いきなり強い火力で炒め始めると、豚肉がほぐれる前に絡めた溶き卵に火が入り過ぎてしまい、団子状に固まったり、豚肉に火が入り過ぎて硬くなったりと、残念な結果になりかねません。
豚肉をゆっくり丁寧にほぐしながら、じわじわと静かに火を通していけば何の問題もありません。あくまで「自分の力量」と「火加減」のレベルを合わせることが大事です。
5.豚肉に火が通ってきたら、ここで火力を中火に強めてたけのこを加え、ざっと炒め合わせます。
豚肉を使う炒め物は、豚肉の赤みがまだ残っている段階で次の材料(ここではたけのこ)を加えるのがコツです。豚肉の色が完全に変わってから次の段階に移ろうとすると、最終的に豚肉に火が通り過ぎて硬くなる原因になりますのでご注意ください。
6.全体が温まってきたら、紹興酒(ない場合は料理酒)を加えて大きく混ぜ合わせます。料理酒でも代用できますが、中華系のお料理をよく作る方は紹興酒を常備しておくと、手軽に本格的な風味が加えられて重宝しますよ。
7.15秒ほど加熱して紹興酒のアルコールが飛んだら、準備しておいた合わせ調味料を投入します。
全体が温まったら粉ゼラチンを投入します。粉ゼラチンは熱い液体に加えることでサッと溶けるので、合わせ調味料が温まってきたところに振り入れるようにしてください。
ゼリーやババロアなど、冷たいスイーツによく使われる「粉ゼラチン」。ここで加えるのはやや唐突な感じがするかもしれませんが、実は原料は動物性のコラーゲン。中華系のスープやあんかけ料理に加えると、よく煮込まれた鶏がらスープを思わせるまったりとしたコクが加わり、ぐっと味の深みが増すのです!
8.水溶き片栗粉を投入してとろみをつけていきます。
この時によく起こる失敗として、ダマのように片栗粉が1カ所で固まってしまったり、とろみが均一にならずムラになってしまったりすることがあります。
しかしちょっとの工夫で、上手にとろみをつけられるコツがあります。それは、水溶き片栗粉を加える前にフライパンの火を一度止めること。
ダマやムラが起こる主な原因は、デンプンが熱で固まるスピードに、フライパンをかき混ぜるスピードが追いつけないという「ズレ」によるもの。いったん火を止めてフライパンの方を落ち着かせてから水溶き片栗粉を加えてしっかり混ぜ込み、改めて火をつけて加熱すると、慌てることなくきれいなとろみをつけることができますよ。
火を止めたら一呼吸置いてから、よく溶いた水溶き片栗粉を回し入れ、全体をよく混ぜ合わせます。繰り返しになりますが「自分の力量」と「火加減」のレベルを合わせることが重要です。
片栗粉が煮汁になじんだら再び中火で加熱します。ここからはゆっくり全体をかき混ぜ続けながら温めていってください。
均一にとろみがついてきたら、あとは時々混ぜるくらいで大丈夫です。フツフツと再沸騰してからさらに1分ほど煮続けると、片栗粉にしっかり火が通り、コシの強い透明感のあるとろみになりますよ。
9.最後に、ホワイトペッパーとごま油を加えれば、肉あんかけも完成です!
パウダー状のホワイトペッパーは、粗挽きコショウのガツンとした風味に比べると、見た目も香りも繊細かつかなり上品です。香りづけのためのスパイスとごま油は、完成の直前に加えることで持ち味を存分に発揮します。
ホワイトペッパーは色もスッとなじんで見た目に影響が少ないので、「隠し味」としてより一層お店のような本格的な印象を加えてくれるのです。
肉あんかけチャーハンの楽しみ方
炊き込み式チャーハンをお皿に盛りつけ、できたて熱々の肉あんかけをたっぷりかければ、肉あんかけチャーハンのでき上がりです! 青ねぎ(分量外)や紅生姜(分量外)などを添えると、華やかな彩りが加わります。
写真のように炊き込み式チャーハンをこんもり盛ってから、肉あんかけを周りに盛りつけることで、チャーハン単体を楽しんだり、混ぜ合わせて食べたりすることもできますよ。
まずは、肉あんかけがかかっていない炊き込み式チャーハン部分から食べてみてください。
炒めた卵の香ばしさと、調味料がお米一粒一粒に行き渡ったしっとり感を楽しめるチャーハンになっています。
次は肉あんかけとご一緒に。炒める前に揉み込んだ溶き卵の効果で、豚肉はしっとり柔らかく、たけのこはシャキシャキ。食感のコントラストを存分に楽しむことができます。
調味料が行き渡った炊き込み式チャーハンのうま味と、肉あんかけのコクが一体となれば、レンゲが止まらなくなる味わいに。最後に肉あんかけに入れたごま油とホワイトペッパーの風味が上品な味わいを感じさせてくれますよ。
まとめ
炊き込み式で作るチャーハンと、3つの粉末系材料がポイントの肉あんかけの作り方はいかがでしたか? レシピを見ると、意外と工数が少なく作りやすいと感じていただけるのではないでしょうか?
炊き込み式チャーハンは、肉あんかけと合わせるためにシンプルにしましたが、刻んだチャーシュー等を加えて炊き込めば、いわゆる普通のチャーハン風にもアレンジ可能です。ぜひ活用してみてくださいね。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。
Adblock test (Why?)
手軽なのにおいしい「肉あんかけチャーハン」の作り方 炊き込み式チャーハンと肉あんかけのコクが決め手【美窪たえ】 - メシ通
Read More