Research Press Release
Nature Communications
2022年9月7日
Engineering: A new method to make hydrogen fuel from air
大気から水を抽出して水素を生成する新しい方法が実証されたことを報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。今回の成果によって、太陽光を燃料に変換する装置が、将来的には、地球上のどこでも作動するようになる可能性が生まれた。
電気と水を使用する電気分解装置によって生成されるグリーン水素は、CO2を排出する化石燃料の代替燃料となる可能性がある。電気分解装置は、再生可能エネルギーを動力源にできるが、複合材料を使った部品、レアメタル、純水の利用を必要とすることが多く、限られた飲料水との競合につながることもある。これらの要因によってコストが上昇し、広範な実施に対する制約になっている。
今回、Gang Kevin Liたちは、液体水の代わりに湿った空気を取り込む電気分解装置の試作品を開発した。この装置は、空気に含まれる水分を吸収し、集めた水を水素と酸素に分解する。再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電)を用いて装置に電力を供給し、12日間の連続運転が達成された。また、この装置は、液体水を必要とせずに、湿度が約4%の乾燥環境でも効率的に作動することも実証された。
Liたちは、この装置に拡張性があり、環境影響を最小限に抑えつつ、辺境地帯、乾燥地域や半乾燥地域に水素燃料を供給するために使えるかもしれないという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-022-32652-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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