パソコンのキーボードが血だらけになっていた。氷点下20度の乾いた空気の中、新型コロナウイルス対策の消毒液の影響で指先はあかぎれで裂けている。毎日クリームを塗り込むが、会場を出入りするたびに大会ボランティアが満面の笑みで消毒を促してくる。破壊と再生を繰り返す指先の痛みに耐えながら、難しい環境で至高のパフォーマンスを見せる選手のすごみを改めて知る。
深夜に山間部の河北省・張家口から北京へ車で戻る際は、現地の運転手が眠気に襲われたのか、蛇行と不気味な加速、減速を繰り返した。ウイルス対策で後部座席と完全に仕切られた運転席は、近くて遠い。「止まって休んで」と叫んだが、「しっかり走れ」とでも言われていると思ったのか、彼は時速100キロの恐怖のドライブを続行。無事に到着すると振り向いて破顔し、仕切り越しのグータッチが出た。
五輪はまもなく閉幕する。仕切り板の向こうの人々にこの大会はどう映ったか。バブルの中では、多くのトラブルがあり、それ以上の感動と笑顔があった。(岡田浩幸)
[記者目線]氷点下20度の乾いた空気と消毒液…五輪記事打つキーボードが血だらけに - 読売新聞オンライン
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