「早い、安い、うまい」 牛丼チェーンのキャッチコピーは、いつまで維持できるのか。牛丼チェーンの吉野家が10月末、値上げに踏み切りました。 【データで見る】 牛肉の値上げ推移と需要と供給の状況 定番商品である「牛丼並盛」の店内飲食価格は、改定前の387円から426円に。価格の10%にあたる39円の値上げです。 値上げは実に7年ぶり。吉野家はこれまで値上げや値下げを繰り返してきていますが、426円は史上最高価格です。 背景には、世界的な肉不足と価格の高騰があります。牛丼の材料として使われる米国産のショートプレート(牛バラ肉)の価格は、この1年で1.7倍に上がりました。 こうした「ミートショック」と呼ばれる肉価格の上昇は、「一過性のものではない」と、食肉業界に詳しい資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は語ります。 肉の値段はなぜ上がっているのか。これから肉は贅沢品になってしまうのでしょうか。柴田氏への取材をもとに、わかりやすく解説します。
現象:牛タン価格が7割アップ
まず、ミートショックの状況を数字から見てみると、値上がりが目立つのはアメリカ産の牛肉。特にタン、ハラミ、ショートプレート(バラ肉)の値段が大きく上がっています。 アメリカ産の牛肉は、日本が輸入する牛肉の約4割を占める大口の輸入元です。日本は牛肉消費量のうち約6割を輸入に依存しているため、日本の消費量の4分の1がアメリカ産だということになります。 タン(冷蔵品)は74.2%、ハラミ(冷蔵品)は66.9%、そして前述の通りショートプレート(冷凍品)は72.2%と、値上がりラッシュがつづく肉の中でも牛肉の値上がり率が圧倒的に大きくなっています。 また、牛肉ほどではありませんが鶏肉や豚肉の価格も上がっています。9月に鶏肉の輸入価格は前年比で14.6%上がりました。輸入豚肉の価格も9月前年比で6.1%のプラスとなっています。 こうした価格の上昇に対して、食品企業や外食企業は値上げを我慢しながら、利益を削ってしのいできました。激しい競争にさらされているため、商品の値上げに踏み切ることは簡単ではありません。 しかし、提供する商品の価格が安いままでは、コスト増を社内で吸収しきれなくなり、値上げせざるを得ない状況になっています。 価格がとびきり安く、薄利多売のビジネスモデルで戦う牛丼チェーンは、その象徴。牛丼の材料となるショートプレートが1.7倍も値上がりすると、どれだけ社内でコストカットを頑張っても、従来の価格では提供できません。 競合の松屋フーズホールディングスも、「牛めし並盛」の価格を、9月に320円から380円に値上げしました。 また、鶏肉の値上がりや品薄で、コンビニのセブンイレブンやファミリーマートも、唐揚げやチキン商品の供給を抑えています。 食肉加工で国内2番手の伊藤ハム米久ホールディングスの宮下功社長は、「全商品を対象に値上げについても真剣に検討していきたい」と11月5日の決算会見で語っています。 肉の価格が以前の水準に戻らない限り、値上げに踏み切る企業は、これからも続々と出てくるでしょう。
肉の値段が1.7倍に。財布を直撃する吉野家「牛丼」値上げの本当の理由(NewsPicks) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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