牛の内臓はすばやく洗浄して氷で冷やすか、または加熱処理をしないと、自らの消化酵素で消化されてどんどん痩せていきます。まさに時間との勝負です。と畜したばかりのまだ暖かい内臓を切って洗って冷やして、またはボイルして製品化する仕事が私は好きでした。なんて人間的な仕事なのだろうと思ったものです。
さて、牛には4つの胃袋がありますが、その内壁の色が何色かご存じですか?人間の胃袋に相当する第4胃のギアラ(赤センマイ)が赤っぽい肌色なのを除いて、第1胃のミノ、第2胃のハチノス、第3胃のセンマイはすべて黒っぽい色をしています。「いや、ミノは白だろう、白いセンマイも食べたことがあるぞ、黒いハチノスは食べたことがないぞ。」という方もいらっしゃると思います。確かに食べるときのセンマイは白も黒もあるし、ミノとハチノスはだいたい白です。ミノは黒い内壁を剥きますが、これには指の力と「コツ」が必要です。センマイやハチノスはお湯の中に入れ、かつ物理的な刺激をし、その後道具を使って黒っぽい内壁を剥いでいきます。ともに見事な職人の技があるのです。
公益社団法人全国食肉学校
総合養成科第23期卒業
専務理事学校長
小原和仁
【お肉のコラム】(67)牛の胃袋は何色? - 日本農業新聞
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