将棋の第8期叡王戦5番勝負で菅井竜也八段(31)を3勝1敗で下し、3連覇を果たした藤井聡太叡王(21)の就位式が28日、都内で行われた。お笑いコンビ「空気階段」の鈴木もぐら(36)がお祝いに駆けつけ、花束を贈呈した。

アマチュア二段で、吉本興業の関東将棋部のメンバーでもある鈴木は祝辞の冒頭、緊張のせいかマイクに頭をぶつける。「高校時代に入っていた将棋部が廃部になったが、藤井叡王の大活躍で近年、復活しました。ありがとうございます」と藤井に向かって頭を下げ、大きな拍手を浴びた。舞台から降りる際、ズボンがズリ落ち、将棋の駒柄のトランクスが見えると、日本将棋連盟の羽生善治会長(52)以下、出席者が大笑いした。

対局では相手を自分のペースに引きずり込む藤井叡王も、おごそかなはずの就位式で起きたハプニングで引きずり込まれた「鈴木もぐらワールド」に、くすっと笑っていた。謝辞の途中で名札が舞台に落ちるひと幕もあったが、「僕のせいじゃありませんよ」と鈴木が叫ぶ。再度笑いを取って、場をつないでいた。

藤井は、振り飛車党として初めてタイトル戦で戦った菅井との対局を振り返って、「大変なシリーズだったと感じています。その一方で菅井八段の中盤の駒さばきや終盤の距離感など、とても勉強になり、得るものの多いシリーズでもあったと感じています。この経験を生かし、より実力を高めていけるよう、取り組んでいきたいと思います」と、謝辞を述べた。

3日後の31日からは、8冠全制覇を目指す第71期王座戦5番勝負で永瀬拓矢王座(30)に初めて挑戦する。挑戦者に決まった時、「挑戦できるのは貴重な機会ですし、全力を尽くしたいと思います」と話した。なごやかなお祝いの席での喜びを胸に、将棋界統一に向けた戦いへと挑む。【赤塚辰浩】