三菱ケミカルグループが持続可能な食品の展開に力を入れている。このほど麹菌由来の代替たんぱく質(代替肉)を手がける米国スタートアップに出資。代替肉分野での出資は2件目の事例となった。将来、環境負荷低減や世界的な人口増加などによって需要と供給のバランスが崩れ、たんぱく質が不足する問題が懸念される中で、代替肉に対する注目度が高まっている。同社はより高品質で幅広い商品を提供し、事業拡大につなげたい考えだ。
米国のコーポレートベンチャーキャピタル子会社を通じ、プライム・ルーツ(カリフォルニア州)に出資した。出資額は非公表。
プライム・ルーツは日本でも古くから発酵食品として親しまれてきた麹を独自の技術で加工する技術を持つ。通常の肉製品と同様に、きめ細かい質感と味を再現した代替肉製品を提供する。三菱ケミカルグループは2021年9月にDAIZ(熊本市中央区)への出資を発表。発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」の改良で協力している。
三菱ケミカルグループは食品分野を最重要戦略市場の一つに位置付けており、持続可能な食品の開発に力を入れていく計画。親和性があると捉えるのが三菱ケミカルグループが得意としている乳化剤だ。
乳化剤は水と油のように混じり合わないものを、均一に混ざりやすくする食品添加物で、食感や風味の改善に寄与する。この製品技術を活用することによって、さらにうま味や風味を高めた代替肉の提供につながるとみている。
麹菌由来の代替肉としてはハムやサラミなどの加工肉を想定している。ハムなどと似た食感で薄くスライスすることができ、サンドウィッチへの利用などにも適しているという。
丸大豆を使うミラクルミートは、大豆搾油後の残りかすを原料とする植物肉に比べうま味や栄養価、消化吸収性が高いことが特徴。食品メーカーや外食チェーンなどでの採用が増えており、今後はさらにひき肉などでの展開を期待しているという。
現在、食肉に関する課題の一つとなっているのが環境面への影響。牛などの畜産動物が排出する二酸化炭素(CO2)や、腸内ガスのメタンは温室効果ガスの排出量の大きな割合を占める。一方で今後は、世界的な人口増などを背景に食肉需要の増加が予想され、食糧たんぱく質が不足する問題も懸念される。
それだけに、食肉に比べて少ない水や肥料で生産でき、環境に配慮したサスティナブルな食材として注目される代替肉への関心はより高まるとみられる。三菱ケミカルグループでは代替肉のよりさまざまな質を高めることで、持続可能な食品としての事業展開を進めていく考えだ。
三菱ケミカルGが代替肉を強化、乳化剤でうま味・風味を高める|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch
Read More
No comments:
Post a Comment