第3話
ウソが平気な人、悪口好きな人8
「空気を読む」……それは「世界に誇る日本文化」か、閉ざされた「ムラ社会の悪習」なのか。
森友学園問題で脚光を浴びた「忖度」を研究する心理学者が、空気の読み方を解説する。
日本で「忖度」が必要とされるワケ
社内を見回すと、空気を読んで行動することにずば抜けて長けていたのに失脚していく人間もいれば、空気を読まない言動が多いのに上司から気に入られて出世していく人間もいるのではないでしょうか。上司からすれば空気を読める部下のほうが使い勝手がいいはずだし、空気を読まない人間とは一緒に仕事もやりにくいはずです。それなのに、なぜそんなことが起こると思いますか。
この謎は「空気を読む」という言葉を「忖度する」という言葉に置き換えると解決します。
昨年の森友学園問題や大企業のデータ改ざん、昨今の政権与党へのメディアの自主規制など、さまざまな事件や問題が立て続けに起こったためにネガティブなイメージが定着してしまいましたが、そもそも「忖度」は「相手の気持ちを推し量る」という意味を持ち、戦わず、平和的に物事を進める日本ならではのコミュニケーションのあり方です。
自分基準で行動して自己主張する欧米では、言葉で伝え、説得し、意見が通らなければ闘いも辞さないという文化があります。だから裁判や争いごとが絶えません。
対して日本では、自分の主張を相手に言葉ではっきり伝えたり、前面に押し出したりすることは恥ずかしいこととする考え方があり、「自分勝手な主張は見苦しいから」と遠慮をして口に出しません。受け取る側もそんな相手の要求や思いをくみ取り、気持ちを慮って対応する文化があります。
例えば、会食で取引先のビールグラスが空きそうなとき。招待された側は自分からお替わりを要求するのははばかられますから、招待した側が先回りしてグラスを満たすなり、新たな注文をする。これも一つの「忖度」です。
このとき、自分が接待する側の最年少で社歴の浅い平社員であった場合は、入り口に近い下座で率先して注文をしたり、話はふられたときにだけして熱心な聞き役に徹するといったことがよしとされます。
先方のグラスがずっと空いたままでも気にも留めず、自分の追加注文だけをしてしまったら、相手のことを思いやれない「KY(空気が読めない)な人」「忖度できない人」になりますし、上司から「ビールを追加して」と指示を受けないと注文しなければ、「言われたことしかやらない人/できない人」と見なされます。
空気を読んで失敗する人、空気を読まずに成功する人|ウソが平気な人、悪口好きな人8 - academy.president.jp
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