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Friday, April 7, 2023

培養肉とは? 植物肉とともに研究、実用化が進む代替肉の現状 - 日経ビジネスオンライン

動物から抽出した細胞を培養して作る「培養肉」。家畜を飼育する必要がない培養肉は将来の食料問題に対する切り札の一つとして期待され、資源の節約や地球温暖化対策などさまざまなメリットが期待されている。今回は代替肉としての培養肉や「植物肉」についての話題を過去記事からピックアップする。

食料問題や環境問題の切り札となる「培養肉」

 「培養肉」とは動物の細胞を培養して作る肉のこと。将来的に起こりうる食料危機問題への切り札として注目を集めている。

 培養肉は牛、豚、鶏などから抽出した少量の細胞から作られるため、家畜を育てるための飼料は不要だ。動物を殺す事なく、また家畜(特に牛)の飼育にともなう温暖化ガスの排出も少ないため、動物や環境に優しい肉という意味を込めて「クリーンミート」とも呼ばれている。

 2013年に初めて培養肉のハンバーガーが登場した時点では、開発費を含め、3000万円以上の費用がかかったとされている。その後、ベンチャー企業を中心に技術開発が加速し、製造コストは下がってきている。将来的には食肉と同程度にまで、低価格化できるとみられている。

 ただ、ミンチ状の肉は作られているものの、厚みのあるまとまった大きさの肉を製造する量産技術は確立していない。肉の塊には筋肉や血管といった立体構造が含まれ、これを実現するのは簡単ではないためだ。とはいえ、その技術開発も着実に進んでいる。

 この記事では国内外で開発が進む培養肉や、植物性タンパク質を利用した「植物肉」などについての話題を過去記事から紹介していく。

食の作り直し始動 ヒトとカネ 呼び込む

 オランダ・マーストリヒト大学のマーク・ポスト教授は「あと3年もすれば、レストランで培養肉を食べられる時代がくる」と語る(2017年5月時点)。同教授は13年に世界初となる培養肉のハンバーガーをお披露目したが、その後の研究で、より本物らしい味に近づけたという。

「植物肉」は“ほぼ”肉の味だった

 一方、培養肉に先駆けて実用化されている代替肉が「植物肉」だ。すでに販売されている製品としては、米国のビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズの植物肉が知られている。ビヨンド・ミートのビヨンド・バーガーは本物の肉のような見た目ながら、コレステロールはゼロ、飽和脂肪も環境負荷も少ないという。

農水若手「行政への閉塞感」打破へ未来図

 日本でも培養肉の可能性に注目が集まっている。培養肉は動物由来の肉と比べ、水の利用が5分の1以下、土地資源の利用が100分の1、温暖化ガスの排出が4分の1以下ですむといった試算がある。これを踏まえ、農林水産省の若手官僚の有志チームがまとめたリポートでは、「動物を殺す必要がなくなり、資源制約や環境負荷の問題も乗り越えられる」と強調している。

IT産業の大物たちが「農と食」に投資する理由

 1990年代からさまざまな企業が代替肉の製造に取り組んできたが、ほとんどがベジタリアン向けだったため、マーケットは小さかった。だが、2010年代になると、世界的な人口増加による食料問題が注目され、ビル・ゲイツのようなIT業界の大物やシリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルが培養肉や植物肉などに注目し始めた。食料問題のような世界的な課題の解決に取り組むことで、巨大な新市場が生まれる可能性があるからだ。

タンパク質危機を救えるか 環境にも優しい「人工肉」

 培養肉や植物肉には、将来的に懸念される「タンパク質危機」への切り札という期待がかかっている。日本国内でも大手食品メーカーやハンバーガーチェーンなどが、相次いで大豆由来の人工肉を使った商品を発売している。また、インテグリカルチャー(東京・文京)が「鶏レバー」の培養試作に成功し、日清食品ホールディングスも東京大学と協力してサイコロ状の牛の筋組織の培養に成功したと発表するなど、研究開発が進んでいる。

サーモンは陸上養殖…食物はどこでもつくれる

 2019年、日清食品ホールディングスは世界で初めて牛肉由来の筋細胞を用いた「1cm四方の牛肉」の開発に成功した。世界で初めて培養肉を開発したオランダ・マーストリヒト大学のマーク・ポスト教授が設立したモサ・ミートのほか、スタートアップが次々と立ち上がっているが、当初はミンチ肉にとどまっていた。同社は「25年3月までに7cm四方で厚さ2cmのステーキ肉の生産を目指す」としており、研究のスピードと成果に自信を見せている。

肉のフードテック最新プレーヤーマップ公開 新市場を獲るのは?

 培養肉と植物肉、そして昆虫食からなる「代替タンパクの世界市場」は、2020年の時点で2572億6300万円だった。さらに10年後の30年には、7倍以上となる約1兆8723億円にまで拡大すると予測されている。日本国内でも不二製油グループの「大豆ミート」をはじめ、日本ハムの植物肉の新ブランド「NatuMeat(ナチュミート)」などが登場している。

最後に

 培養肉をはじめとする代替肉は、将来的な食料危機への対策として、また環境問題への切り札の一つとして期待される成長分野だ。研究機関だけでなく国内外の食品メーカーも商品開発を積極的に進めている。植物性タンパク質を使った植物肉はスーパーなどの店舗や外食分野で販売・提供されており、市場規模の拡大が予想される。培養肉ではミンチ状のものが登場しているが、厚みのある肉塊を作製する技術開発も進んでおり、手ごろな価格でそうした培養肉を口にできる日も近いかもしれない。

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