職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。
大勢がいる場での「負のループ」
組織にいれば、厳しい展開が予想される会議の進行を担当することがあります。
たとえば、継続的な売上の不振や、トラブルの報告会議などが挙げられます。
「改善策を出すように詰め寄る上司」→「十分に答えられない部下」→「しばし続く沈黙」→「ふたたび詰め寄る上司」……
というような、「負のループ」に直面すると、挟む言葉もそのタイミングもはかれないまま、上司の追及が終わるのを祈るように待ち続けてしまいます。
ただ、進行担当を任されるほどのキャリアになれば、会議のアジェンダを見ただけで、追及されるテーマや人が想像できると思います。
ここで準備するのは、「会議のシナリオ」です。
私の知っている重たいテーマの会議でもスムーズに進行させる若手営業リーダーは、「会議は準備次第」と言います。
「重たい空気」に備えておく
彼の話をもとに、スムーズな進行を学びましょう。
営業報告会を例にします。
リーダーのAさんのチームが成績不振だったのに、Aさん本人が何も対策を用意できていませんでした。
Aさんが上から厳しくつっこまれるのは確実でした。
そこでAさんと相談して会議の場で、
「続いてAさんの報告です。今日の報告では、Aさんの希望で、みなさんから意見をもらいたいということです」
と、前振りすることにしたのです。
すると、単なる結果報告ではなく、善処するための報告に聞こえるようになります。
その結果、上からのつっこみから逃れられて、Aさんが他のリーダーから助言をもらう場に変わりました。
会議の空気が前向きに変わったのです。
このように、彼は場が重たくなる想定をした上で、「シナリオ」を用意して臨んでいたのです。これは、いわばAさんへの予告となるシナリオです。
こんなときやりすぎてしまう人は、Aさんのような人を見つけると、一緒にひざを突き合わせて成績不振の改善策まで考えてしまいます。
よほど時間があるならわかりますが、改善策を考えるのはAさんの仕事です。
相手の心の壁の向こうは、相手が考えることなのです。
感じのいい人は「会議の重たい空気」をどんな言葉で切り抜けるのか? - ダイヤモンド・オンライン
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