クレディ・スイス・グループの 終わりがシドニーからニューヨークに至るまで全世界を揺るがす中で、従業員には明確な指示が下されていた。仕事に戻れ、というメッセージだ。
激動の1週間を経て競合 UBSグループによる買収という形で、クレディ・スイスは166年の歴史に幕を閉じることになった。同行は行員宛ての内部文書で、これまでに約束した賞与支給と昇給は引き続き実施すると通達し、「通常通りの業務」を続けるよう促した。
クレディ・スイス、賞与を引き続き支給すると従業員に通達-内部文書
一方、UBSは週末の緊急協議で急きょ成立した買収がまだ完了していないとして、新たに同僚となるクレディ・スイス行員に業務上の秘密を明かすべきではないと注意を促した。「クレディ・スイスは依然として当社の競争相手だ」とラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)は行員宛ての文書で指摘した。
東京やニューヨークなど各地のクレディ・スイスのオフィスは通常通りの業務とはいかなかった様子だが、荷物が入った段ボール箱を持って行員がオフィス建物から出てくるといった、2008年の金融危機時にありふれていた光景は見られなかった。雇用を巡る不安と、およそ15年前にリーマン・ブラザーズ・ホールディングスがたどったような運命は少なくとも回避されたとの安堵(あんど)が交錯する中で、幹部らは士気向上に努めた。
アクセル・レーマン会長とウルリッヒ・ケルナーCEOは行員宛ての文書で、「クレディ・スイスの将来に関するこの48時間にわたる激しいメディア報道を皆さんの多くが追いかけ、これが引き起こした大きな不透明感と緊張を味わっているだろうと承知している」とおもんぱかった上で、「顧客や日常業務に影響が即あることはないと留意してもらいたい」と指摘。「当社の支店や世界のオフィスは稼働を続ける。全行員は出勤を続けるべきで、そのように期待されている」と述べた。
シンガポールや東京などアジアのクレディ・スイス各オフィスは20日午前、おおむね静かで、幹部らは今回の買収が両行にとって有益だとの姿勢を示そうとした。事情に詳しい関係者によると、同行のアジア部門CEOを務めるエドウィン・ロウ氏は、UBSのアジアCEOであるエドムンド・コー氏に電話をかけ、両行は最終的に一緒に働くことになるため顧客を念頭に置いて合併を進めるべきだと呼び掛けたという。
クレディ・スイスの広報担当者はコメントを控えた。
UBSのコー氏は別の文書で、同行にとって今回の買収は「ワクワクする」とし、同行の戦略を加速させるとともにウェルスマネジメントの能力強化を後押しするだろうとの見方を示した。
UBSが大規模なプライベート・バンキング事業を吸収することになるスイスのチューリヒでは、ウェルスマネジメント部門のトップであるイクバル・カーン氏がクレディ・スイスのタウンホール会議に参加。カーン氏はリレーションシップマネジャーには慰留ボーナスが用意されると表明し、統合後に寛容と敬意が感じられる雰囲気を同氏が醸成するとしてクレディ・スイス行員を安心させようとした。関係者の1人が述べた。カーン氏はUBS移籍前はクレディ・スイスの国際ウェルスマネジメント事業を率いていた。
ただ、米国の投資銀担当者の雰囲気は暗かった。資本市場と助言業務をファースト・ボストンのブランドでスピンアウトする野心的な計画がどうなるのかについて、会社からの発表はまだない。UBSは19日、計画をそのまま進めるのか明言せず、コルム・ケレハー会長はクレディ・スイスの投資銀行部門を縮小すると決意していると述べた。
原題: Credit Suisse Tells Staff to Go to Work as Somber Mood Sets In(抜粋)
クレディ・スイス、通常業務を行員に指示-行内は重苦しい空気と ... - ブルームバーグ
Read More
No comments:
Post a Comment