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Wednesday, December 28, 2022

【お肉のコラム】(15)養豚家が6次化を通して学んだ事 - 日本農業新聞

 茨城県の田んぼが広がる平野に「ぶた」という看板が目立つ、洋風な店舗の豚肉専門店があります。自社生産の「伝説の下妻金豚」を使用し、精肉やハム・ソーセージ等の加工品を作り、惣菜やホルモン等も商品化をして、豚一頭を色んな形を通してお客様に楽しんでいただくお店です。私は、そこの職人兼店主をしています。

 今回、家畜の生産者の一人として、豚について書いてみたいと思います。

 私は、生産する事と販売する事の二足のわらじを履いています。ご先祖が続けてきた養豚業を通して、この「二足のわらじ」に大きな意味があると感じています。世の中に豚肉単体というものは存在しません。豚がと畜され、枝肉になり、部分肉になり流通していく。豚という「命」があり、その命が約半年の期間を経て「豚肉」として出荷されていくのです。

 生産現場では、生まれたばかりの子豚が生後数日以内に「命」を落とす事も稀ではありません。養豚家として家畜と向き合い、職人として豚肉と向き合い、「命」のバトンタッチを任されていることを感じています。

 私はまず全国食肉学校でお肉の知識と技術を身に付けました。その上で、どんな等級の豚肉でもそれぞれの特長を引き出し、和洋中を問わず美味しくお買い求めやすい商品に加工する努力をしています。無駄を出さないために、脂肪を揚油として使い、端材も残さず活用しています。SDGsという言葉もあるように、一人ひとりが食に向き合い、食を愉しみ、「命」に感謝する、そこに「いただきます」があると思います。

 明日の食卓に「美味しい笑顔」があふれるように、豚と豚肉に全力で向き合い、生産者として職人として、地域貢献をしていきたいと考えています。

公益社団法人全国食肉学校総合養成科第48期卒業・倉持 暁成

(公益社団法人全国食肉学校
 総合養成科第48期卒業 
 豚職人工房ぶぅーぶー・倉持暁成)

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