朝食やおやつでおなじみのヨーグルト。ただ食べるだけでなく、料理の下ごしらえでも活躍する。漬けダレに使えば、乳酸で魚の生臭さが抑えられ、肉もしっとりやわらかく仕上がる。
ヨーグルトは牛やヤギなどの乳を乳酸菌といった微生物の働きで発酵させた食品だ。乳酸菌は乳に含まれる糖類の「乳糖」を材料にして、乳酸という物質を作り出す。この乳酸が乳のタンパク質に作用することで、ヨーグルト特有のとろみが生じ、爽やかな酸味を感じさせる。
ヨーグルトはそのままシンプルに、または果物などと一緒に食べるという人が多いだろう。一方で料理の下ごしらえにも便利に使える。理由の1つに乳酸の作用を生かせる点が挙げられる。とりわけ魚や肉のヨーグルト漬けをおすすめしたい。
魚料理にはしばしば酢、かんきつ類、梅が用いられる。これらの食材に含まれている酸が魚の生臭さを抑えるからだ。魚の生臭さの成分「トリメチルアミン」はアルカリ性で、酢酸やクエン酸といった酸性の成分を加えると、中和されて揮発しにくくなる。
ヨーグルトで作ったタレに魚を漬け込んでから調理しても、乳酸の作用によって生臭さを抑えられる。酢や果物に比べると風味はそれほど強くないので、料理の味に影響しにくい。ヨーグルトに含まれるタンパク質や脂肪の粒子にも、臭みの成分を吸着してにおいを感じにくくする働きがある。
肉では酸性のタレに漬けてから加熱すると、しっとりとジューシーに仕上がる。
厚みのある肉の場合、きちんと火を通しながらも、十分な水分を保持した状態に仕上げるのは結構難しい。肉を加熱すると、タンパク質が変性し、筋肉の繊維が縮んで水分が絞り出される。そのため加熱しすぎると、パサついたり、かたくなったりして食感が悪くなってしまうのだ。
そうはいっても加熱時間を短くしすぎれば、表面はともかく、内側が半生の状態になってしまう。加熱が不十分な肉による食中毒では嘔吐(おうと)や下痢、発熱などの症状があり、場合によっては命に関わる。甘く見てはいけない。
食材からの水分流出を抑える方法として低温調理に関心が高まっているが、適切な知識と十分な設備なしではリスクがある。基本的に肉はしっかり加熱して食べるよう心がけてほしい。
それではしっかり火を通しつつ、水分を残したジューシーな肉料理を楽しむにはどうすればいいのだろうか。肉が水分を保持する力を高めればよいのだ。
肉を酸性のタレに漬けておくと、筋繊維の隙間が広がって、より多くの水分を保持できるようになる。塩分が染み込めば、筋肉の組織が緩んで保水性はさらに高くなる。ヨーグルトを使った漬けダレはもちろん、酢やワインを使ったマリネ液でもこうした役割を期待できる。
下ごしらえにヨーグルト 魚の生臭さ抑え肉やわらかく|NIKKEI STYLE - Nikkei.com
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