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2022.9.11 なないろ日和!
いまや日本の国民食となった「焼肉」。シンプルだからこそ、焼き方によって美味しさが大きく変わるのです!
毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木曜朝9時26分放送)から、"焼肉のスペシャリスト"松浦達也さんに「焼肉の美味しい焼き方」についてうかがいました。
【焼きの鉄則】3箇条
画像素材:PIXTA
食に関する記事を編集・執筆するフードライターで、「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)をはじめ肉に関する著書を多数手がけている松浦達也さん。さまざまなメディアで焼肉の焼き方を検証してきた"焼肉のスペシャリスト"による、"焼き"の重要性と鉄則がこちら!
「ステーキなどの肉料理はシェフに調理を任せますが、焼肉は"焼き"という一番大事な部分を客が行い調理の仕上げまでをする、世界でも稀な料理です。だからこそ"焼き"が大事。"肉料理は一度火を入れたら戻れない"を常に念頭に、徐々に火を通していく方が失敗が少ないです」(松浦さん、以下同)
【焼きの鉄則1】強火・中火・弱火を見極める
「ガスロースターや七輪によりクセがあり火力は1台ごとに違いますが、基本は以下の通り。火力が強いのはどこかを知り、肉の部位にあった火加減で焼くこと」
<ガスローター>
上下...強火、真ん中...中火、両端...弱火
<七輪>
真ん中など火力が強いところ...強火、その回り...中火、端...弱火
【焼きの鉄則2】肉の脂をならして網を育てる
「新しい網は肉がくっつきやすいため、最初は"網を育てる"ことが大事。まず網がしっかり温まったら、肉を網にトントンと何度かなでつけて全体に脂をならします。タン塩や塩ホルモンなど脂が多くてタレではない肉がいいですね。これで焼きやすい網になります」
また、焦げついてきたら網を交換してもらうのがベストですが、網交換できない場合はトングなどで焦げを削らずそのまま焼いたほいがベター。削ると焦げが黒い粉となって肉に移ってしまいます。
【焼きの鉄則3】肉をひっくり返す時は隣へ
「焼肉の美味しさの大事なポイントは表面に焼目をつけること。何度もひっくり返さず、しっかり焼目をつけてからひっくり返しましょう。そして肉を返す時は、これまで焼いていた部分の隣、もしくは他の空いている部分に置いて焼くこと。その場でひっくり返すと、温度が下がっているところで焼くことになります」
そのためには、網の上を使うのは常に5割程度までを意識し、空きの場所を作っておくこと。"網のマネージメント"ができれば美味しく焼けます!
肉の部位ごとの美味しい焼き方
焼きの基本を押さえたところで、代表的な部位の焼き方を紹介。ポイントは、それぞれの肉の特性を活かして焼き方を変えること! また、同じ部位でも<上>や<特上>と違い、<並>は焼きの正解の幅が狭いのが特徴です。
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【タンの焼き方】薄切りは強火で短時間、厚切りは中火でじっくり!
「厚切りの場合は一気に火を入れることが難しいので、まず切り目が入った部分を下にして焼き、切り目の奥まで色が変わったら裏返し、裏側もジュクジュクと泡を吹いたような状態まで焼き上げたら、一度皿に上げるか弱火のところに置いて休ませてから、また中火で焼く。これを2、3回繰り返します。肉の表面を押したときに強い弾力を感じるまでよく焼きましょう。両面にしっかり焼き目をつけるのがポイントです」
また、「ネギタン塩」など上にネギが乗っている場合の焼き方は3パターンあり!
1. 薄切り肉の場合は、ネギを上に乗せたまま軽く焼き目をつけ、折りたたんでネギを蒸し焼きに。
2. ネギを一度落とし、肉の両面をしっかり焼いて最後にネギ乗せて食べる。
3. ネギは香りづけと割り切り、ネギが乗っている方を下にして焼いてネギを焦がし、ネギの乗っていない面をこんがり焼く。
【ロースの焼き方】並は強火で短時間!上は中火でしっかり
「通常のロースはモモ肉が多いので、焼きすぎると固くなるため短時間でサッと火を入れます。<並>は火の上に置く時間を短かめに。<上><特上>は、時間をかけても縮まず固くなりにくいので中火でしっかり火を入れても美味しいです」
【カルビの焼き方】中火でじっくり!
「<並>はバラ肉が多く、脂と肉と筋の3つの層に分かれているため、筋に火が通ることを意識すると美味しく焼けます。筋は火を入れると縮んで肉が反り返ってくるので、それが裏返すタイミングです。
<上><特上>はお店によって部位が違うので一概には言えませんが、基本、サシが多く筋が少ないので、中火で片面を長めに焼き、ひっくり返して脂を落とす感じで表面にちょっと焼き色をつけるくらいでOK」
【ハラミの焼き方】中火でじっくり!
「ザクッとした食感が魅力的なハラミは表面をしっかり焼くのがポイント。ハラミは縮みにくいので、ある程度芯まで熱を加えても柔らかさを保てます」
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【ホルモンの焼き方】塩ダレは中火~中弱火、タレは強火で短時間
「<塩ダレ>は、皮側からしっかり焼いて水分を飛ばし、皮に焼き色がついて全体的に火が通ったらひっくり返して、脂側に焼き目をつけたらOK。この方法だと脂が下に落ちにくいので、炎上しにくいです。皮8:脂2くらいのイメージで。<タレ>は焦げやすいので、皮側から一気に焼きます。塩ダレと違って、皮側をパリッと仕上げるのは難しいので、タレに焦げ目をつけるような感覚で焼き上げます」
"焼き"を究めるには、やはり場数を踏むこと! 「まずは、焼き目をつけるのか、中まで火を通すのか、そのどちらもなのか、などこの肉が美味しくなるゴールを考えて焼くと美味しく焼けるようになると思います」と松浦さん。アドバイスを元に、ぜひ今夜は焼肉を!
「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社)
取材協力:ライター・編集者・フードアクティビスト 松浦達也さん。食専門誌から一般誌、新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」などをテーマに幅広く執筆。著作は「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社)、「大人の肉ドリル」(マガジンハウス)、「ハイボールとつまみ」(主婦の友社)など多数。
Twitter:@babakikaku_m
Instagram:@babakikaku_m
(取材・文/玉置晴子)
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