クルマにとって欠かせないパーツのひとつである「タイヤ」は、定期的に空気圧の点検が必要です。ではタイヤの空気圧に不具合がある場合、どういった影響があるのでしょうか。
思わぬトラブルも!? 気をつけたい「タイヤの空気圧」
タイヤは、クルマにとって欠かせないパーツのひとつですが、実は空気圧が高くても低くても負荷をかけている場合があります。
なかでも空気圧が低下すると燃費の低下にも繋がり、最悪な場合はバースト(パンク)する可能性があります。
ではタイヤの空気圧が原因によるクルマのトラブルにはどういったことが挙げられるのでしょうか。
クルマのタイヤはゴムの性質で空気を通すため、気づかないうちに自然と空気が抜けていきます。
タイヤメーカーであるヨコハマタイヤによると、1か月で10kpaから20kpa低下するというデータが出ています。
空気圧低下による症状について、元整備士のAさんは以下のように話します。
「ゴムの性質は熱や紫外線に弱いので日の当たる場所や毎日の長距離運転などで劣化していきます。
症状として、ショルダー部と呼ばれる地面の接地部とサイドウォールの間の部分が特に汚れ始めたら空気圧不足の疑いがあります。
空気を入れても圧の低下が早い場合、タイヤとバルブ(空気を入れる部品)の隙間、ホイールとバルブの隙間、タイヤとホイールの隙間の計3箇所が多く、タイヤの劣化によって歪んだり欠けたりして空気が漏れやすくなります」
とくに上記の3箇所については空気が漏れやすいため、気をつける必要があります。
では空気圧が低下することでどういったトラブル発生があるのでしょうか。
まずタイヤ空気圧が低下することで「スタンディングウェーブ現象」が起こる可能性があります。
スタンディングウェーブ現象とは、空気圧が低下したまま高速回転するとたわみが発生し、目に見えるほどタイヤが変形してしまう現象で、均一に回転しないことにより、部分的に熱を帯びバーストする可能性が高くなってきます。
このほか、ヨコハマタイヤは公式ウェブサイトにて空気圧不足による悪影響について解説。
タイヤのころがり抵抗が大きくなり、エネルギーロスが増加することによる「クルマの燃費悪化」や、車重を支える負担がサイドウォールを伝って両肩にかかることで「偏摩耗しやすい」とされています。
また路面の水がタイヤから排水されるまでの距離が長くなり排水が間に合わずに「ハイドロプレーニング現象」が発生しやすいことも挙げられています。
このように空気圧低下が要因でクルマのトラブルを引き起こす可能性があるため、日々タイヤのこまめな点検が必要です。
タイヤの空気圧はクルマによって基準値はさまざまですが、一般的に運転手側のドア付近に基準となる数値が書いてあるシールが貼られており、タイヤの大きさによって圧も変わります。
例えば、指定空気圧が230kpaなどの記載があるので空気圧計測器で計り充てんします。
ガソリンスタンドなどでセルフ充てんできる箇所がありますが、実はタイヤの空気圧を充填する場合には空気圧充填講習や作業特別教育を受けて資格を取る必要があります。
このため、自動車整備士や作業に慣れている人に空気圧の点検をおこなってもらうようにするのが良いでしょう。
またクギなどを踏んだ時のパンクで空気圧が抜けてしまうということも。
日本自動車連盟(JAF)が発表している2021年度のJAFロードサービス出動理由では、タイヤのパンク・バースト・エアー不足で出勤した件数が2位の40万1290件というデータが発表されています。
道路別で見ても、一般道路部門2位の36万9670件、高速道路部門は1位で2万1189件と、上位にランクインしていることが分かります。
クルマのパンクについて、元整備士のAさんは以下のように話します。
「タイヤ全体を見る機会はあまりないかもしれませんが、窓を開けて走った時にカチカチ聞こえることがあり、釘や石がタイヤ溝に挟まっていることが多いです。
目に見える症状であればすぐに確認できますが、見えない場合は耳でいつもと違うロードノイズがしたら注意です。
石が挟まっているのも最悪の場合パンクにつながるのでなるべく取っておく必要があります」
※ ※ ※
一方でタイヤ空気圧が高過ぎるのもパフォーマンス低下の原因になります。
空気圧が低くなるのを見越して規定以上に入れてしまうと、路面とタイヤの接地面が少なくなりグリップの効きが悪くなります。
ブレーキをかけて止まるまでの制動距離が伸びたり、グリップが効きにくいことにより、カーブで大きく膨らんでしまう恐れがあります。
同様に濡れた路面や凍結した路面ではスリップして事故につながる危険性があるので、規定を大幅に超えるような充てんは避け、こまめなメンテナンスが大切といえます。
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