(24日、高校野球大阪大会4回戦、近大付11―4今宮)
六回表1死満塁。今宮の応援席から逆転を待ち望む手拍子がわき起こる中、近大付の右腕・前田尚哉君(3年)が、継投のためにマウンドに向かった。
この回は中継ぎ投手が今宮打線につかまり、2点を奪われた。リードしているのに試合の流れを失ってしまうのではないか――。ベンチや応援席がそんな重苦しい空気になっていた。
「絶対にこの空気を変えてやる」
マウンドに上がった前田君が投球練習を始めた。捕手のミットに140キロ台中盤の直球が収まる「パン!」という音が響くたび、その重い雰囲気が徐々に晴れるようだった。
まずは9番打者との対戦。コンパクトなスイングの相手を、変化球で内野ゴロに。続く1番打者には自慢の直球を投げて、外野フライに打ち取った。「よっしゃ」と叫び、全力疾走でベンチに戻った。
22日の3回戦は久しぶりの公式戦登板だった。「緊張して本調子ではなかった」と、3回を投げて被安打2、1失点。納得がいかず、次を待っていた。
この日は「とにかく思い切り投げよう」と全力で腕を振った。直後の打席でもフルスイング。左中間に大飛球を放ち、フェンス直撃のランニング本塁打に。投打に渡って活躍した。
藤本博国監督は「直球でも変化球でも勝負できる力のある投手。いやな雰囲気だったが、前田が流れを切り、ゲームを引き締めてくれた」と評価した。
次戦は春季府予選ベスト8の大商大堺が相手。ライバルでエース左腕の西平晴人君(3年)とともに挑む。「左の西平、右の前田のダブルエースと言われるよう、一戦必勝で戦いたい」と気を引き締めた。(岡純太郎)
近大付・前田君の直球とランニングHR 重い空気をパン!と断ち切る - 朝日新聞デジタル
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