ハヤシライスに使う代替肉(手前)を仕込む料理人=3月、京都市
実は、調理に使っているのは“本物”の肉ではない。大豆などのタンパク質から作ったネクストミーツ(東京)製の代替肉だ。男性らは同社の製品でアレンジ料理を作っていた。優勝レシピを商品化するという。
シニアセールスディレクターの清水大輔さん(38)は「代替肉のおいしくないイメージを払拭したい」と狙いを語る。
ハヤシライスやおこわ、担々麺…。見た目には普通の肉を使っているものと変わらない。牛丼風に加工された商品を使った炊き込みご飯を試食してみた。青臭さはなく油揚げのようなやさしい味わい。弾力のある食感は本物のようだ。
■第4の肉
植物性タンパク質で肉を再現した代替肉は「第4の肉」とも呼ばれ、近年、存在感を増している。
大豆製品を扱う老舗メーカーだけでなく、最新技術を駆使したフードテック企業が次々と誕生。大手食肉メーカーも参入し、外食チェーンでの取り扱いも増えている。
調査会社シード・プランニング(東京)によると、代替肉の国内市場規模は2030年に780億円と20年比で2倍、世界では8倍の886億ドルに拡大すると予測する。
活況の背景には、世界の人口増加がある。50年には100億人に迫ると予想され、食料需要の増加は必至。タンパク質供給源の確保が課題となっている。
もう一つ、見過ごせないのが畜産による環境負荷。家畜を育てるには大量の水や穀物が使われる。また、飼料の生産や輸送、家畜のげっぷやふん尿から温室効果ガスが生じる。世界で人為的に排出される温室効果ガスのうち約15%は家畜由来とも言われる。
■意識の変化
「地球を終わらせない」を理念とするネクストミーツは、こうした問題の解決に挑む。20年創業ながら、環境保全や社会課題の解決を重視する世界のESG投資家から注目されている。
「代替肉をおいしく食べてもらうことで地球環境を良い方向に変えていきたい」と清水さん。焼き肉店との提携や百貨店でのフェア開催など、普及に向け矢継ぎ早に企画を仕掛ける。
消費者の意識も変化しつつある。
鹿児島大学3年の中村涼夏さん(20)は普段から代替肉を選ぶ一人。「肉の消費量を減らさなければ、気候変動を止められないと思う」と話す。
気候変動対策の強化を求め活動する中村さんは、高校3年の頃から畜産物を一切口にしていない。
消費者が安価で大量の肉を求める裏側で、環境破壊や飢餓の問題が生じている現状に胸を痛める。食材選びの基準は「おいしさ」だけではないという。
「肉は好き。だけど、世界の問題が解決するまで、私は我慢したい」
(連載【翔べ和牛 第4部 地球と歩む】より)
市場規模は10年で8倍に? 「おいしくない」イメージ払拭、代替肉の存在感が増している | 鹿児島のニュース - 南日本新聞
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