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Thursday, April 7, 2022

インドネシアの肉煮込み料理は「世界一おいしい」…白いご飯との相性抜群 - 読売新聞オンライン

 インドネシア料理と聞いて思い浮かべるメニューは何だろう。ナシゴレン(焼きめし)やミーゴレン(焼きそば)、サテ(焼き鳥)を連想する人が多いだろうか。こうした有名料理をおさえ、米CNNによるランキングで「世界一おいしい料理」に選ばれたのは、肉の煮込み「ルンダン」だ。

 インドネシア西部スマトラ島の商業都市パダン発祥で、現在は全土に広がった国民食だ。今回は、首都ジャカルタで最も古いとされる店を訪ねた。

 官庁や企業のオフィスがひしめくジャカルタ中心部に店を構える「ポンドック・ジャヤ」は1970年ごろに開業。現在は創業者の子4人が経営する。

 ルンダンの見た目は、真っ黒でグロテスクだ。しかし一口かんでみると肉はすっとほぐれ、辛さと甘みが入り交じった重層的な味わいが口の中で広がった。白いご飯との相性は抜群で、濃厚なスープだけでも何杯もおかわりができそうだ。

 濃厚な味わいの 秘訣(ひけつ) は、3日もかける煮込みの工程にある。刻んだ唐辛子やニンニクなどを混ぜ合わせていためた後、ココナツミルクと肉を入れて数時間煮込む。この作業を繰り返すことでスープが濃縮され、肉に味が染みて軟らかくなるという。

 焦がしてしまうと苦みで味が損なわれるため、つきっきりでかき回し続ける必要がある。創業者の長女で調理場を取り仕切るファリダ・チャイディルさん(59)は、「時間をかけている分だけ、他の店にはない味わいに仕上がっています」と胸を張る。

 パダン料理店はチェーン店も多く、競争は激しいが、兄のマルジュキさん(59)は、「親から引き継いだパダン料理を守りたい」と意気込む。

 

 ルンダンには牛肉のほか、地域によって水牛、鶏、アヒルなどの肉が使われることもある。香辛料もコリアンダー、クミン、ターメリックなど多種多様だ。調理法や具材によって味わいや食感が異なるので、お気に入りの店を見つけるのがインドネシア人の楽しみとなっている。

 パダン料理は地方発祥ながら、今やインドネシアを代表する郷土料理となっている。ルンダンのほか、アヤムポップ(フライドチキン)やグライアヤム(チキンカレー)なども人気だ。「ポンドック・ジャヤ」も含め、パダン出身者が各地に移住したことで普及が進んだとされる。

 客が店に入ってから、食事が提供されるまでの待ち時間がほとんどないのが特徴で、インドネシア版「ファストフード」と呼ばれる。テーブルに座ったとたん、店員が料理を盛った小皿を腕に乗せて運んでくる。テーブルいっぱいに小皿を並べ、客は食べた料理の分だけ代金を払う仕組みだ。手を付けなかった皿は回収され、また別の客に運ばれていく。

 早くておいしく、食べる量も調整しやすいパダン料理は、多忙なジャカルタ人の心をつかんでいる。週に1度は「ポンドック・ジャヤ」を訪れ、ルンダンやアヤムポップを注文するという会社員のベニ・ルドウィックさん(42)は、「パダン料理は、もう生活の一部です」と話した。

 国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。

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