こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。本日は牛肉ではなく鶏肉を使った「鶏すき焼き」をご紹介していきます。
牛肉よりもお安く手に入る鶏肉をポイントを押さえて代用すれば、上品なすき焼きを手軽に楽しむことができるんです。野菜もたっぷり摂取できますので、身体にも優しいレシピになっています。
また、今回ご紹介する鶏すき焼きでは、鶏もも肉と鶏むね肉の2種類を使っていきます。
ジューシーでうま味の強い鶏もも肉を楽しみたい方にも、さっぱりヘルシーな鶏むね肉を楽しみたい方にも、満足していただけると思っています。
鶏もも肉と鶏むね肉は、それぞれの特徴に合わせたひと工夫を加えることで、完成度をワンランク上げることができますよ。
それでは一緒に作っていきましょう!
鶏もも肉&鶏むね肉とたっぷりの野菜を使った「鶏すき焼き」
材料(3~4人分)
【具材】
- 鶏もも肉……1枚(300g程)
- 鶏むね肉……1枚(300g程)
- 白菜……3〜5枚(300g程)
- 長ねぎ……1本
- 椎茸……3~4個
- 春菊……50g
- しらたき(アク抜き不要のもの)……1袋(180g)
- 焼き豆腐……1丁(200g)
- 卵……人数分
【鶏むね肉下味用】
- 砂糖……小さじ1と1/2
- 酒……小さじ1と1/2
【割り下】
- 酒……100ml
- 醤油……100ml
- 砂糖……40~50g
【だし】
- 昆布だし……200ml ※水200mlに和風だしの素(顆粒)小さじ1/2を溶いたもの
鶏すき焼きの作り方 準備編
1.鶏すき焼きの味の決め手となる、割り下から作っていきます。
調味料を混ぜ合わせるだけですが、10分程置いておくと味が馴染んでまろやかな味わいになるため、最初に作っておくといいですよ。
2.鶏もも肉をカットしていきます。皮を下にしてまな板に置き、2〜3cm幅程度にカットします。鶏もも肉は煮ると縮みますので、大きめにカットするのがポイントです。
3.鶏むね肉をカットしていきます。鶏むね肉は加熱しすぎると硬くなるので、薄くカットしてしゃぶしゃぶ風にします。
鶏皮をはずしたら包丁を寝かせるようにして4〜5mm幅程度のそぎ切りにしましょう。鶏皮はあとで使用しますので、捨てずにとっておいてくださいね。
そして、加熱するとパサつきやすい鶏むね肉には、ここでひと工夫を加えます。
下味も兼ねて砂糖と酒を揉み込んでおきましょう。砂糖には保水力(水分を抱え込む効果)があるため、これをやっておくだけで、パサつかずにしっとりとした食感が保てるんです。5分〜10分程置いておくと調味料が全体に馴染んで、よりやわらかな肉質に仕上がりますよ。
4.お肉以外の具材をカットしていきます。長ねぎは1cm幅程度の斜め切りに。
椎茸は、石突きを切り落として3等分くらいのそぎ切りにすると、味の染み込みもよく早く煮えますよ。
続いて、白菜は葉の部分は5〜6cm程の角切りに。芯の部分は6〜7cm程の長さになるように切った後に、2〜3cm幅程度の棒状にカットすると最後まで存在感が残りやすくオススメです。
あとは、春菊を5〜6cm程にカット。焼き豆腐は8等分を目安にカットして、しらたきをザルに上げて水気を切っておけば、具材の準備は完了です。
鶏すき焼きの作り方 調理編
具材の準備が整ったところで、すき焼きを調理していきましょう。
1.鍋にしらたきを入れ、中火にかけて水分を飛ばします(乾煎り)。このひと工夫を加えることで、しらたきに短時間で味が染み込みやすくなりますよ。
バチバチと音がしたら水気が飛んだ証拠ですので、取り出しておきます。
2.割り下を1/3程入れて強めの中火で煮立て、鶏もも肉を入れていきますが、この工程が鶏すき焼きをおいしく作る上での最大のポイントになります。
割り下にブクブクと泡が立ってきたら、鶏むね肉からはずしておいた鶏皮と鶏もも肉を皮目から投入します。
途中で醤油の香りが立ってくるので、焦げつきそうなら少し火を弱めます。この香ばしさこそが鶏すき焼きをおいしくするポイントになります。醤油と鶏肉のうま味を凝縮させることを意識して、鶏もも肉を調理してみてください。
鶏皮と鶏もも肉は2分程加熱して全体に味が馴染んだら一度取り出しておきます。この時に生の部分があっても大丈夫。強めの火加減で短時間で味をなじませるイメージです。こうすることで鶏肉のプリッとした食感を保ちつつ、調味料の煮詰まりを防ぐことができます。
3.鶏肉のうま味と醤油の香ばしさが残った鍋に、長ねぎを投入して1分程加熱していきます。長ねぎにタレを絡めて香りを立てるように熱してください。
4.白菜と椎茸を投入します。
野菜を加えるたびに、鍋肌や鍋底に残った割り下を野菜でこそげとるようにして全体に絡めるように加熱してください。
続いて、先程ひと工夫を加えたしらたきを投入しましょう。ここでも鍋肌の調味料をぬぐい取るようにしてください。
5.ここまで投入した食材ごとに場所を決めて整理しておきましょう。空いたところに焼き豆腐を入れて全体のバランスを調整すると見栄えが良くなりますよ。
6.割り下とだしを100mlずつを目安に投入し、野菜を5分程中火で煮ていきます。
7.取り出しておいた鶏もも肉を戻して春菊を加え、鶏もも肉に火が通るまで加熱できれば、鶏すき焼きの完成です! 溶き卵につけていただきましょう。
鶏肉のうま味と醤油の香ばしさを生かした上品な鶏すき焼き
完成した鶏すき焼きは、煮込む前の工程で濃縮され深みを増した割り下と、鶏肉の上品なうま味が合わさり、牛肉のすき焼きとはまた違った味わいに。香ばしく焼いた後に煮込んだ鶏もも肉は、ぷりっとした食感に仕上がりました!
また、野菜は調味料を絡めながら事前に加熱しているので、溶き卵につけても野菜の風味や調味料の輪郭をしっかりと感じることができますよ。
牛肉ではなく鶏もも肉を使っているので、コストを気にせずお肉をたくさん食べられるのも鶏すき焼きの魅力の1つ。食べ盛りのお子さんがいらっしゃるご家庭などにもオススメしたい1品です。
鶏むね肉で食感のチェンジも可能 ヘルシー志向の方にもオススメです
そして今回は、鶏むね肉も用意していますので、鶏もも肉を堪能したら鶏むね肉を味わっていきましょう。
鶏むね肉は薄くそぎ切りにしているので、お好みのタイミングでさっと火を通していただくだけで大丈夫。あっさりヘルシーに鶏すき焼きを楽しみたい方は、鶏むね肉バージョンのみでお楽しみくださいね。
※煮汁が少なくなってきたら、残りの割り下とだしをお好みで追加していってください。
肝心の味についてですが、さっと火を入れた鶏むね肉は、しっとりとやわらかい食感で味わうことができます。味が染みた野菜や溶き卵と一緒に頬張れば、淡泊な鶏むね肉でも、しっかりとすき焼きの味わいを堪能することができますよ。
〆はやっぱりこれ! たった数分で作れる具だくさん親子丼
鶏肉と野菜と調味料のうま味が存分に染み出した汁を最大限に生かすためには、親子丼で〆るのがオススメです。具だくさんな親子丼があっという間に作れますよ。
早速作り方をご紹介していきます。
小さめのフライパンに、残った汁(1人分80ml程度)とお好みの具材を入れ、中火で煮立たせていきます。具材が大きければ小さく切っておくと食べやすくなりますよ。
具材が温まって汁がフツフツと沸いてきたら、溶き卵1個分(分量外)を回し入れ、蓋をして弱火にかけます。1〜2分程加熱して卵が半熟の状態になれば頃合いです。
お好みの量のご飯(分量外)の上にのせ、お好みで七味(分量外)を振りかければ、〆の親子丼の完成です!
鶏もも肉のぷりっとした噛み応えと、鶏むね肉のやわらかさ、それぞれの食感を味わえる親子丼は、最後まで楽しく食べ進められます。うま味が詰まったタレと半熟の卵がご飯によく絡んで、お腹がいっぱいでもつい食べ過ぎてしまうようなおいしさです。
お好みで七味をかけていただければ、ピリッとした味の変化も楽しむことができますよ。
まとめ
今回は、2種類の鶏肉を使った「鶏すき焼き」をご紹介しました。お肉も野菜もたっぷり摂取できることに加えて、〆までおいしく楽しめるレシピになっています。ぜひ鶏肉のうま味を生かした鶏すき焼きを楽しんでみてくださいね!
書いた人:庭乃桃
料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。
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