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Thursday, March 10, 2022

肉どうふ定食 ふじた食堂(盛岡市) - 読売新聞オンライン

 「 御食事処おしょくじどころ 」と書かれたのれんをくぐると、木造のテーブル席と畳の座敷が見え、何だかほっとする。店内には、定食から麺類まで多様なメニューがずらりと掲示されていた。「名物」と書かれた「肉どうふ定食」が目に留まり、さっそく注文してみた。

トロトロに煮込まれた牛肉とあめ色のタマネギから湯気が立つ。その下の大ぶりに切った木綿豆腐と一緒にいただく。しょうゆベースの甘じょっぱい味が、ごはんによく合う。秘伝のタレは、砂糖やみりん、酒、カラシなど10種類の調味料を加え、最低でも5~6時間煮込んでいるという。

 「ふじた食堂」は現在、藤田幸子さん(78)と、息子の 正規まさのり さん(49)が切り盛りしている。店は1967年、幸子さんの義父母が盛岡市茶畑に国道4号が通ったことから開店した。幸子さんは翌年、嫁入りし、店を手伝い始めた。

 客は場所柄、トラックやタクシーの運転手など、運送業に携わる人が多い。メニューは、栄養バランスが良く、おなかいっぱい食べられる定食が中心だ。忙しい客のために、温めた豆腐に肉だねをのせてすぐ出せる「肉どうふ定食」を名物に据えた。午前9時から店を開け、「目玉焼き定食」や「ハムエッグ定食」など、朝ご飯向けのメニューも豊富だ。

 ランチタイムになると、常連客同士の会話が始まる。「お客さんが『今日は誰々さんが来たよ』『来なかったよ』とか、毎回報告してくれるんですよ」と、幸子さんは楽しそうに話す。

 正規さんは高校卒業後、箱根のホテルの 厨房ちゅうぼう で8年ほど腕を磨いた。父親が体調を崩したため帰郷し、以来、調理を担当している。

 「お店に立っているのが当たり前。これからもお客さんにはごはんを食べて、元気になってもらいたい」と幸子さん。今日も客を優しく出迎え、温かく送り出す。

 取材で国道4号を通る度、「趣のある店だな」と思っていた。雑誌でかなりの老舗だったと知り、思い切ってお邪魔した。

料理の他に気になったのが、店内に置かれている紙製のかごだ。幸子さんは手先が器用で、編み物が趣味だという。折り込みチラシを丸めて棒状にし、編み込んで作る。かごを編む幸子さんと楽しく会話していると、3時間近くたっていた。そんな居心地の良さが、食堂が長く続いている理由なのかもしれない。

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肉どうふ定食 ふじた食堂(盛岡市) - 読売新聞オンライン
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