宮城県丸森町大張に2月1日、築約300年の古民家を改装した熟成肉レストラン「Es(エス)」がオープンする。東京のフレンチ店などで経験を積んだシェフ新村彰人さん(31)が肉の深い味わいを伝えようと、古木のぬくもりに満ちた店内で腕を振るう。「生産者と作る一皿が店のテーマ」。野菜などの食材も地域の農家らと交流しながら調達したいと望む。
6年間ほど空き家だった床面積約150平方メートルの家屋に、調理場や熟成庫などを備えた。かやぶきを覆う赤い鉄板屋根が店の目印。新村さんは「山や川、畑に囲まれた一軒家が理想だった」と語る。
東京で熟成肉の味に感銘を受け、知識や調理法を身に付けた。独立しようにも都内では経費負担が重く、生産現場に近い農村部での開店を目指した。
出身地の北海道や長野県などでも場所を探したが、知人の紹介で訪ねた丸森町の古民家を気に入り、昨年春に購入。妻や長男と千葉県から町内に移住し、改修を進めた。
「(2019年の台風19号豪雨など)災害が重なる中でも町を良くしたいと考えている住民が多いと知り、自分も一緒に頑張れると感じた」と振り返る。
店内は、いろりの煙で長年いぶされた黒い柱や梁(はり)、天井のかやぶきが古民家の風情を残す。飲食テーブルなども家屋の古い部材を再利用した。
ドライエイジングでうま味、香り高める
熟成庫では温度や湿度を一定に保ち、現在は川崎町産ホルスタインの経産牛1頭分の肉が「ドライエイジング」と呼ばれる手法で寝かされている。うま味や香り、歯応えを高めながら出番を待つ。
丸森町内で西洋野菜の栽培を手掛ける生産者と知り合い、食材を仕入れている。アルバイト期を含め飲食業界に10年ほど身を置き、食材に込めた生産者の思いに関心を抱くようになったという。
「農家との対話で食材の背景を知り、料理に生かしたい」と新村さん。「お客さんが元気になる店にし、農村で自立できる飲食業のビジネスモデルを示すのが目標」と意気込む。
営業は午前11時半~午後5時(ランチは午後3時まで)、午後6時以降は予約制のディナー。月曜定休(祝日の場合は火曜)。昨年末にプレオープンし、1月も限定的に営業した。飲食店向けに熟成肉の卸売りも行う。連絡先はEs0224(87)8461。
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