西九州大学健康栄養学科(佐賀県神埼市)の学生らと同県基山町の農業生産法人がコラボし、町で飼育されている大型鳥類「エミュー」の肉を使った料理用の「万能ソース」を作った。鉄分をふんだんに含む肉をたっぷり使ったトマトベースのソースで、働き盛りの女性らがターゲット。町も補助金を出すなど新しい特産品として期待している。
ダチョウに似たエミューは、体長170センチにもなる豪州原産の鳥。同大の安田みどり教授や斎木まど香准教授が指導する「食品の創製ゼミナール」の学生と、同町でエミューの飼育や販売を手がける「きやまファーム」が約8カ月かけて開発した。
発端は昨年4月。管理栄養士を目指す学生の山口萌弥さん(21)と貞弘さくらさん(21)は、「食ゼミ」を履修し、商品開発を学ぶことに。ゼミのプレゼンで選ばれたきやまファームと協力し、エミュー肉で商品を作ることに決まった。
鶏や牛、豚と比べると、エミューはカロリーや脂質が少なく、たんぱく質や鉄分が多い。特に鉄分はダントツだ。貧血気味で鉄分摂取を気にする女性が多いことから、ターゲットを「仕事や家事で忙しい30~40代の女性」に設定した。
エミューの見学や会議をしながら、山口さんと貞弘さんは試作を重ねた。エミュー肉は加熱しすぎると硬くなる。唐揚げやハンバーグなど10種類以上を試した結果、加熱しても使いやすいミンチに行き着いた。さらに、「女性が好むパスタソース」で、「忙しくても簡単なレトルト」という観点から、ミンチが材料のミートソースに決めた。
トマトをベースに完成したソースは、180グラムのうち54グラムものエミュー肉を使った。パスタのほか、コロッケやミートパイの具にも使える。きやまファームの担当者の柳瀬浩司さん(59)は「トマトと肉が絶妙に絡んで味わい深いソースになった」と説明する。
商品名は「笑便(えみゅーびん)」。コロナ禍で会えない人に気軽に贈れるちょっと高級なギフトにしようとの思いから、封筒型の包装にした。メッセージカードやレシピとのセットだ。
昨年12月にあった同町のイベント「ふ・れ・あ・いフェスタ」で販売したところ、60パック売れた。山口さんと貞弘さんは「苦労が多かったが、商品開発は良い経験になった」と達成感を口にする。
税込み600円。年間1千パックの販売を目指し、きやまファームのウェブサイト(https://kiyama-farm.com/)からも購入できる。問い合わせは同社(0942・50・8603)へ。(高原敦)
エミュー肉使い万能ソース 佐賀の学生ら開発 - 朝日新聞デジタル
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