大型で非常に強い台風21号が小笠原近海を北上している。12月に発生する台風は珍しくないが、日本に近づく台風はまれだ。来週にかけて全国的に気温の高い状態が続く。その後は気温が下がり、師走らしい寒さに。
トランスバースラインと台風シーズンの終わり
大型で非常に強い台風21号が小笠原近海を北上しています。3日(金)午後3時現在、中心付近の気圧は925ヘクトパスカル、最大風速は50メートルあり、これだけを聞くとトップシーズンをイメージしますが、台風の雲をみると違いがわかります。
台風の丸い雲域の北西側にのびる雲、一見すると普通の雲に見えますが、ギザギザとした模様がついています。これはトランスバースラインといって、上空の強い風、ジェット気流によって発生する雲です。どのくらい強い風かというと、風速40メートル以上、時速に換算すると約150キロです。野球選手の剛速球と同じくらいでしょうか。季節を分ける上空の強い風がこの位置まで南下しているのをみると台風シーズンの終わりの終わりを感じます。
台風の北上と暖かい師走
熱帯の海は一年を通して水温が高いため、12月でも台風は発生します。しかし、日本列島に近づいてくる台風はまれで、最近では2008年12月18日頃に小笠原に近づいた台風22号、そして2004年12月4日頃に沖縄に近づいた台風27号があります。
台風は熱帯の空気を持ち込むため、気温に影響することがあります。師走に台風が近づいた2008年12月はクリスマスイブまで暖かく、年末年始は急に寒くなりました。そして、2004年の12月も暖かい日が多かったのですが、大みそかは東京都心で雪が積もる寒さになりました。
残り少なくなった今年はどうなるのでしょう。
あす(4日)、あさって(5日)は全国的に気温が下がり、日中は西日本でも15度を下回るでしょう。
しかし、寒気の勢いは続かず、来週は(この時期としては)暖かい空気に覆われる予想で、今のところ、11日(土)頃が暖かさのピークです。その後は寒気の影響を受けやすくなるため、徐々に師走らしい寒さとなる見通しです。
ひとつ気になっているのが北極に溜まっている冷たい空気です。今は日本列島に近づきにくくなっていますが、ひとたび風の流れが変われば、ドッと日本列島に押し寄せるでしょう。年末に向けて天気が荒れないことを祈るばかりです。
【参考資料】
気象庁:1か月予報、2021年12月2日発表
気象庁:2週間気温予報 解説資料、2021年12月3日発表
珍しい師走に接近する台風 暖かい空気で来週は気温高め(片山由紀子) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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