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Saturday, October 30, 2021

肉を食べる人の方が菜食主義者より「うつ」や「不安」を訴える人の割合が少ない —— 最新分析 - Business Insider Japan

ステーキ

昼食にステーキを食べる男性(2012年12月7日、インドネシア)。

Reuters/Enny Nuraheni

  • 最新のあるメタ分析は、肉を食べない食生活とメンタルヘルスの不調に相関関係があることを示している。
  • 分析の結果、肉を食べる人の方がビーガン(完全菜食主義者)やベジタリアン(菜食主義者)よりも、うつや不安を訴えている人の割合が少ないことを示している。
  • ただ、これは肉を控えるとうつや不安につながるということではない。

『Food Science and Nutrition』に掲載された最新のあるメタ分析によると、肉を食べない食生活は何でも食べる食生活に比べて、うつや不安との相関関係が強いという。

このメタ分析は肉の消費とメンタルヘルスに関する20の研究を調べたもので、ベジタリアンまたはビーガンとメンタルヘルスの不調との関連を見つけたという。

「常にダイエット中で幸せだという人にどのくらい会ったことがありますか? 恐らく非常に少ないでしょう。食事制限は長期的に人を不健康で不幸せにするのには、科学的な強い理由があります」とサザンインディアナ大学の心理学者で、今回のメタ分析の共同著者でもあるウルスカ・ドベルスク(Urska Dobersek)氏はInsiderに語った。

ただ、その因果関係は未だに議論が続いている。一部の研究はビーガン食による栄養不良がうつと関連していると示唆しているものの、うつや不安が"肉を食べない"という決断より先行している可能性もある。

「心の病に関して、肉を避けることは『鶏』であり『卵』なのかもしれません」とドベルスク氏は語った。

肉を食べるのをやめても、メンタルヘルスは改善しない

精肉コーナー

Taylor Rains/Insider

今回のメタ分析には、2001年から2020年半ばまで、4大陸、17万2000人近くの被験者 —— このうち約15万8000人が肉を食べていて、1万3000人が肉を食べていなかった —— を対象に行われた研究も含まれている。

2つを除いて全ての研究が、被験者が肉を食べるかどうか自己申告した上で、不安やうつを経験したことがあるか答えるアンケートをもとにしていた。

そして、メタ分析は「肉を食べないことはメンタルヘルスの不調と明らかに関連がある」と結論付けた。

これは被験者の性別に関係なくそうだ。ただ、研究者らは相関に影響を与える他の要素 —— 年齢や具体的にどのような種類の肉を食べているのか、社会経済的ステータス、心の病の既往歴、肉を食べなくなってからどのくらい経っているかなど —— を確認することはできなかった。

それでも、過去の研究に基づいた分析結果は似たような傾向を見せているため、ドベルセク氏は驚きはなかったと話した。実際、ドベルセク氏のチームが2020年に発表した分析は、肉を食べないこととうつや不安、自傷行為のリスクの高さは相関していると示唆している。

加えて、ドイツの研究チームによる2021年7月の分析でも、ベジタリアンは肉を食べる人に比べてうつ状態にある人が多かったことが分かった。

「食べ物や飲み物を断つことでより健康に、より幸せになれるという考え方は短絡的かつ非科学的で、根拠がありません」とドベルセク氏は話している。

ビーガンとうつ、どちらが先?

ビーガンデリ

Aleeya Mayo

ただ、肉を食べない食生活が直接、メンタルヘルスの低下につながるという根拠はない。

「肉を食べない食生活が心の病を引き起こすとは言えません。分かったことは、肉を食べないことでメンタルヘルスが改善するという考えを今回の研究は支持しないということです」とドベルセク氏と2020年の論文を共同で執筆したエドワード・アーチャー(Edward Archer)氏は以前、Insiderに語っていた

複数の研究がベジタリアンは肉を食べる人に比べてうつ状態にある人が多いと示す一方で、反対の結果を示す研究もある。"順番"の問題もある。肉を食べるのをやめたのが先で、うつのリスクが高まったのか? それとも、すでにうつを抱えている人がビーガンまたはベジタリアンになることを選んだのか? この問いに答えた研究はほとんどないが、2012年の研究はベジタリアンになるより、うつが先だと示唆している。

肉を食べないこととメンタルヘルスの不調の関連について考えられる他の説明としては、ドベルセク氏とアーチャー氏によると、メンタルヘルスの問題を抱えている人がそれに対処するために肉を食べない食生活を試している、または、うつを抱えている人は動物に感情移入しやすく、個人の倫理に基づいてそうした選択をしている可能性があるという。

「心の病を抱えている人はしばしば、ある種の自己療法として自身の食生活を変えます。そして、多くの人が『自然』と人間社会に付いて回る残酷さへの倫理的反応として、ビーガンを選んでいます」とドベルセク氏は指摘した。

気候変動を悲観しているまたは気候変動に対して不安を抱いている人が、二酸化炭素排出量を減らす食の選択をしがちだという可能性もある。畜産業は、世界全体で1年に排出される二酸化炭素量の約15%を占めている。

ただ、ドベルセク氏は厳格なビーガンの食生活は栄養不良につながることもあると指摘している。妊娠中の女性はなおさら、だ。これが身体的、精神的な病のリスクを高める可能性がある。例えば、ビタミンB12や葉酸、オメガ3脂肪酸は動物性食品にのみ含まれるもので、これらの栄養素が不足すると、うつや無気力、代謝不良につながりかねない

論争は続く

ステーキ

BURCU ATALAY TANKUT/Getty Images

2020年のドベルセク氏の分析が公表された時、一部の人々はこれが肉を食べればメンタルヘルスが向上することを示すものだと考えたが、アーチャー氏は「それは明らかに誤りだ」と話している。

加えて、ドベルセク氏が「『Beef for a Happier and Healthier Life(より幸せで健康な生活のために牛肉を)』の系統的な再調査を実施するために」全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)から1万ドル(約114万円)以上の補助金を受け取っていたことを指摘して、批判する声もあった。

今回のメタ分析も、資金の一部を同協会が補助している。ただ、論文の執筆者らは、スポンサーが研究の計画、データ収集、結論に影響を及ぼすことはなかったと述べている。

ドベルセク氏は、今回の分析結果が食生活の指針の作られ方や伝え方に影響を与えるだろうと考えているという。

「アメリカ人のための食生活指針(Dietary Guidelines for Americans)は、版を重ねるごとに制限が増えています」とドベルセク氏は指摘した(例えば、2020年版では赤身肉の摂取量を制限するよう勧めているが、2005年版にそのようなアドバイスはなかった)。

「にもかかわらず、アメリカ人の糖尿病、不安、うつは増加しています。わたしはこれが偶然だとは思いません」

[原文:People who eat meat report lower levels of depression and anxiety than vegans do, a recent analysis suggests

(翻訳、編集:山口佳美)

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