
厚生労働省は17日、遺伝子を効率よく改変するゲノム編集技術を使って肉厚に改良したマダイについて、大学発の新興企業が提出した「ゲノム編集食品」の届け出を受理した。血圧の上昇を抑える働きがある成分を多く含むトマトに続き国内2例目で、マダイは流通や市販ができるようになる。
マダイは、京都大と近畿大が共同で開発した。受精卵の段階で、筋肉細胞の成長を抑える働きがある「ミオスタチン」の遺伝子の一部をゲノム編集技術で壊している。成長すると、通常のマダイに比べて身の量が平均1・2倍になる。
同様の魚を従来の品種改良で作るには、数世代にわたり交配や繁殖を繰り返す必要があった。ゲノム編集は遺伝子を狙って壊すため、数年で品種改良ができる。外部から遺伝子は組み込まず、安全性は従来の品種改良と同等とみられる。
この日は厚労省の専門家会議が開かれ、マダイは食品としての安全性に問題がないと判断した。これを受け、マダイの養殖や流通を行うリージョナルフィッシュ(京都市)が、厚労省に届け出た。
マダイは「22世紀鯛」と命名され、海に出ないよう陸の水槽で養殖する。当面は一般販売する予定はなく、インターネット上で出資を募るクラウドファンディングの応募者に、10月から昆布締めや鯛めしなどの商品を発送する。資金はマダイの量産化や今後の研究開発などに充てる。
リージョナルフィッシュは、両大学などがゲノム編集マダイの水産資源化をめざし、2019年に設立した。17日に東京都内で記者会見した梅川忠典社長は、「地方の水産業は厳しい状態にある。ゲノム編集マダイが活性化につながるよう貢献したい」と語った。
また開発者の一人で同社最高技術責任者を務める木下政人・京大准教授(魚類発生工学)は「長期間かかった品種改良が、ゲノム編集を使って短期間でできるようになった。これを機にゲノム編集食品の開発が活発になるのではないか」と期待を述べた。
ゲノム編集で肉厚マダイ、販売可能に…京大と近大が共同開発 - 読売新聞
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