狙った遺伝子を正確に改変できる「ゲノム編集技術」で肉厚にしたタイが、9月にもゲノム編集食品として厚生労働省に受理され、流通・販売が可能になる見込みとなった。受理されれば、ゲノム編集食品の魚としては国内初となる。
京都大や近畿大などが共同で開発を進めてきたタイで、筋肉の成長を抑える遺伝子「ミオスタチン」を働かなくさせることで身が大きくなる。従来の餌の量を与えるだけで身が約1・5倍に増える。高級魚であるタイのコストダウンにつながるとして期待される。
ゲノム編集したタイはタグを付けて個別に識別し、陸上の水槽で養殖するため、海に逃げて天然のタイと交配することはないという。今後、厚労省の専門家部会などで、タイが本来持たない外部の遺伝子が入っていないかや、新たなアレルギー物質が作られていないかなどを確認する。問題がなければ届け出が受理される。実際に市場で販売される時期は未定だ。
水産庁のデータによると、世界で1人あたりの魚介類の年間消費量は、アジアを中心にこの10年間で約1割増加した。養殖魚用の餌代が高騰しており、今回の技術は、厳しい経営状況にある養殖業を救う一手になる可能性もある。魚のゲノム編集はほかに、京大などがフグ、九州大などがサバについて研究を進めている。
ゲノム編集食品を巡っては昨年、血圧の上昇を抑える働きがある物質「
◆ゲノム編集食品 =ゲノム編集技術で特定の遺伝子を壊した食品で、厚生労働省に届け出されたもの。ゲノム編集には、狙った遺伝子を壊す手法と、外部から遺伝子を導入する手法があり、遺伝子を壊したものは従来の品種改良と差がないとされる。外部遺伝子を導入した場合は「遺伝子組み換え食品」とみなし、安全性や環境影響の厳格な審査が必要になる。
【独自】ゲノム編集で1・5倍肉厚にしたタイ、来月にも流通へ…魚では国内初 - 読売新聞
Read More
No comments:
Post a Comment