★先月29日、自民党幹事長・二階俊博は次期衆院選をめぐり、元官房長官・河村建夫(二階派)が現職の山口3区に、元文科相・林芳正(参院山口選挙区、岸田派)がくら替え出馬した場合、「現職優先だ。(処分は)党則に書いている」と除名などの処分を検討する考えを示した。河村は当選10回の大ベテラン議員。78歳。林は参院当選5回、60歳のこちらもベテラン議員だ。林は12年にも衆院くら替えを画策するも、「公認は河村」と党本部が林出馬を認めず失敗に終わっている。

★選挙が近づいたことで各派閥所属候補らの競合や元々公認争い問題を抱えながら双方引かない選挙区、現職の引退で後継を巡る調整が激化しているなど自民党内の候補者選定でもめている選挙区は20を超える。そこに君臨して公認調整をする幹事長の偏った差配もしばしば問題となる。「地元の要請」(自民党ベテラン議員)というものの、系列県議も多く抱え、息子に後継を渡すまでは引退できないと世襲の環境を整えたいのは河村も二階も議員の地位とポストにしがみついているという意味では同じことだ。

★「今までは幹事長派閥の二階派のごり押しなどが続いたが、二階派は自分の派閥を拡大するため、例えば無所属議員の元環境相・細野豪志などを二階派に特別会員として入らせ、公認調整を有利に運ぼうとしてきたが、一方で二階派議員の不祥事も多い。自民党内が混沌(こんとん)としてきたことで、居座り続けるベテランという名の高齢幹部が諸悪の根源という空気も強くある」とは中堅議員の声だ。高齢が悪いのではない。育成を阻み後継に道を譲らないベテランはまだ仕事でやり残したことがあるのか、国民に何を残そうとしているのか。(K)※敬称略