
ハチの体に付着した微粒子の15%はマイクロプラスチック
ミツバチは微粒子を集めるのに適した体をしている。体を覆う毛が飛行中に静電気を帯び、微粒子を引き寄せるからだ。大半は、花粉のように意図して集めるものだが、植物の残骸やほかのハチの断片など、移動中に偶然遭遇した微粒子も集めてしまう。 ギャラリー:プラスチックごみに翻弄される動物たち、写真10点 そして、このリストに新たな物質が加わった。プラスチック、具体的には13種類の合成ポリマーだ。ミツバチに付着したマイクロプラスチックを分析する研究がデンマークで行われ、その成果が5月1日付で学術誌「Science of the Total Environment」に発表された。 マイクロプラスチックが世界中に広がっていることは周知の事実だ。しかし、大気中をどのように移動するかはまだ解明されていない。大気中のマイクロプラスチックを試料として集めるのが難しいのがその理由で、これまでの研究のほとんどは地表で行われているという。 今回の研究では、毛で覆われたミツバチの体が、風によって運ばれるプラスチックの繊維や破片の分布をより正確に評価するのに有効であることが示された。ミツバチは数が多く、広範囲で餌を探すため、マイクロプラスチックがどのように世界中に散らばっているかを知るための、生きた探知機となる。 「この研究は、環境中のマイクロプラスチックの存在を示す生物指標としてミツバチを活用できる可能性を初めて実証したものです」と研究チームは述べている。都会のハチにも農村のハチにも付着
科学者たちは数十年にわたってミツバチを汚染の指標として利用し、重金属、農薬、大気汚染、さらには放射性降下物を追跡してきた。ミツバチとプラスチックの相互作用に関する研究も1970年代から行われているが、マイクロプラスチックより大きなマクロプラスチックに焦点が当てられていた。 例えばハキリバチは、巨大な下顎で葉や花びらを切り取るのと同じようにプラスチックも半月状に切り取ることがわかっている。 チリ、アルゼンチン、カナダ、米国では、ハキリバチが袋やパッケージなどのプラスチック製品からこのような破片を集め、巣の補強に使う様子が観察されている。米国では、工事現場の測量や目印に使われるプラスチック製テープも巣の材料として切り取られていることを示唆する研究結果が発表されている。 今回のデンマークの研究では、コペンハーゲンの都市部にある養蜂場9カ所と、郊外や農村部の10カ所から働きバチ数千匹が集められた。コロニーが形成される春、研究チームが巣箱の内部から直接ハチを採取した。ミツバチがプラスチックに遭遇する機会は豊富にある。ハチの採取に参加したメンバーは天然繊維の服を着るなど、試料となるハチを汚染しないように配慮した。 採取したハチは凍結して安楽死させた後、脚と体に付着した粒子を洗い落とした。次に、顕微鏡と赤外線を使い、大きさ、形、素材によって粒子を分類した。 その結果、15%の粒子がマイクロプラスチックで、そのうち52%が破片、38%が繊維だった。最も多かった素材はポリエステルで、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルが続いた。天然の綿繊維も含まれていた。 都市部はマイクロプラスチックの密度が最も高いため、予想通り、都市部のハチから最も多くのマイクロプラスチックが検出された。意外だったのは、郊外と農村部のハチに付着していたマイクロプラスチックの数が少なくなかったことだ。研究チームはこの事実について、風が分散させることでマイクロプラスチックの濃度が広範囲で均一になっているのではと考えている。 スペイン、マドリードにあるアルカラ大学の教授で、研究チームの一員でもあるロベルト・ロサル氏はメール取材に対し、「コペンハーゲンの中心部より田舎の方がもっと『きれい』なハチだと予想していました」と述べる。「しかし、小さなマイクロプラスチックは移動性が高いと考えれば説明が付きます」
ハチが空気中のマイクロプラスチックを蓄積していた、初の実証(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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