
植物由来の原料で肉の味や見た目を再現した「肉代替食品」が世界でブームとなっている。消費者の健康志向の高まりや、畜産の環境負荷を問題視する声の広まりが要因。世界の市場規模は急拡大し、2027年には1兆6000億円に上るとの試算もある。今後日本でも消費が拡大する可能性がある。
日本は「これから」
世界の企業情報を配信しているビジネスワイヤ(米国サンフランシスコ)は3月、世界の肉代替食品市場規模を発表した。20年に56億ドル(約6200億円)だった市場規模は、27年までに149億ドル(約1兆6400億円)に達すると推計している。ベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(動物由来の食品を食べない人)の増加を理由に挙げた。
<欧州>
欧州連合(EU)の最近の調査報告書によると、20年度の欧州全域における肉代替食品を含む植物由来食品の市場規模は、36億ユーロ(約4800億円)と18年度比で5割増えた。オランダ、オーストリアの伸びが目立つ。報告書は「地球の持続可能性への懸念や動物福祉、環境保護意識の高まり」を主因とする。
<米国>
米国の植物由来食品協会などによると、同国の植物由来食品の20年小売売上高は前年比27%増の70億ドル(約7700億円)。うち肉代替食品は、同45%増の14億ドル(約1500億円)だった。同協会は米国全世帯の5分の1近くが肉代替食品を購入していると推測する。 肉代替食品業界の最大手メーカーはビヨンド・ミート(米国ロサンゼルス)で、同社商品はスーパーのウォルマート、コストコなど、全米2万8000店以上で販売している。20年11月にはマクドナルドと提携し、ハンバーガー用のパテを開発した。21年4月には中国・上海で工場を稼働。大手外食と提携し、肉代替食品を供給していく予定だ。 ハングリー・プラネット(米国セントルイス)も4月、海外輸出促進のため、2500万ドル(約27億円)を投資すると発表した。同社は「肥満や高血圧など、高カロリーな食肉の食べ過ぎによる疾患が多く、健康的な肉代替食品はさらに需要が伸びる」と展望する。
<日本>
日本ではイトーヨーカ堂が、4月27日から1都9県の102店舗で肉代替食品の販売を順次開始した。メーカーのネクストミーツ(東京都新宿区)が国産大豆を原料に開発。焼き肉のカルビやハラミの風味が特徴だ。アジアへの輸出実績があり、ベトナムでの現地生産も進める。 大手コンビニエンストアやコーヒーチェーンでも大豆ミートと称する総菜やサンドイッチが出始めている。 肉代替食品に詳しい釧路公立大学の川島啓准教授は「研究開発に巨額の投資をした欧米の肉代替食品は食肉と全く同じ味と食感だ」と指摘。「今後、こうした肉代替食品が日本に輸入されるようになると、選択する消費者は増えるのではないか」と話す。
日本農業新聞
肉代替食品 世界でブーム 環境保護意識高まる 27年に1・6兆円試算も(日本農業新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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