愛知県岡崎市の静かな山あいにある養鶏場で「コッコッコッ」と元気のいい鳴き声が響く。白黒のまだら模様に真っ赤なとさかが映える「岡崎おうはん」だ。
「卵を産み、肉も味わえる卵肉兼用種で、純国産の地鶏です」。市内養鶏農家4軒のうち、最も多い3万9千羽を飼う地元の太田商店代表取締役社長の原祥雅(よしまさ)さん(51)が胸を張った。
岡崎おうはんは、独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場(同市)が2008年度に開発した。ともに在来種で、肉質の良い横斑(おうはん)プリマスロック種が父で、産卵性能に優れたロードアイランドレッド種が母。肉質のうまみと、大きな卵黄が特徴だ。
太田商店はもともと、家畜の飼料販売が専門だったが、「地元で誕生した地鶏を広めたい」と、養鶏に初めて挑戦。10年から肉を販売するために雄の飼育を本格的に開始した。
ひなから生後120日ごろまで育てるが、こだわるのはやはり餌だ。トウモロコシやマイロと呼ばれる穀物などを配合し、「歯応えやジューシーさがあり、脂身が黄色くなりすぎないようにしている」。12年の地鶏・銘柄鶏食味コンテストで最優秀賞を受けるなど手応えを感じる。
さらに、雌の飼育もスタート。「臭みがなく、甘みもあるおいしい卵」を作り出すためには、こちらも餌が重要で、きな粉や魚粉、有用微生物のEM菌などを混ぜて与える。原さんに「卵かけご飯で味わうのがお勧め」と促され、実際に食べると、黄身の濃厚な味わいや甘みが口の中に広がりご飯が進んだ。
同店が育てた卵や肉は岡崎、名古屋市の飲食店など約150軒で使われるが、岡崎市外での認知度を上げるのが今後の課題。同市や観光協会などでつくるブランド推進委員会も各地でPRに努めており、原さんは「岡崎おうはんの名物グルメや土産品を生み出してアピールし、名古屋コーチンに負けない存在にしたい」と力強く語った。
文・写真 古根村進然
◆味わう
太田商店が営むPR施設「らんパーク」(岡崎市福岡町)の直売所では、卵1パック(6個入り)を平飼いの場合は540円、ケージ飼いは399円でそれぞれ販売。バウムクーヘンや焼き鳥用の冷凍肉なども扱っている=写真。
併設するレストランでは卵かけご飯やもも肉のステーキなど多彩な料理が味わえる。担当者は「地名を冠した地鶏を多くの人に味わってもらい、地域活性化にもつなげたい」と話す。
卵はインターネットでも販売中。(問)同店=電0564(51)9703。
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